和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

田辺の温川もカードに 31府県の棚田をアピール

温川の棚田が紹介された「棚田カード」(和歌山県田辺市中辺路町温川で)
温川の棚田が紹介された「棚田カード」(和歌山県田辺市中辺路町温川で)
 棚田の魅力や保全活動の実態を知ってもらおうと、農林水産省と和歌山など31府県の職員でつくるプロジェクトチームが「棚田カード」を作っている。和歌山県内では田辺市中辺路町にある「温川の棚田」など4地区がカード化されており、それぞれの地区で無料配布している。担当者は「美しい景観の棚田を巡ってほしい」と話している。

 農林水産省によると、棚田はもともと厳しい耕作条件にあるため、近年、担い手不足や高齢化によって保全が難しくなってきている。

 このため、棚田がある地域を応援しようと「棚田カードプロジェクトチーム」を結成し、昨年度「手に取ってもらいやすく、収集して大事にしてもらえるのではないか」と、31府県56地区の棚田カードを作成。第2弾として本年度、11県52地区のカードを作った。

 カードの大きさは約6センチ×約8・5センチで、表に美しい棚田の写真、裏に所在地や棚田の枚数、栽培されている米の品種、特徴などを記載。さらに、カードを納める袋がついた台紙には、市街地からの所要時間を五つの星で表現した「秘境度」や地域の活動、観光やアクセスなどの情報を載せた。

 県内では第1弾で、有田川町の清水地区にある「あらぎ島」と那智勝浦町の色川地区にある「小阪」がカードになっており、今回は「温川の棚田」と橋本市柱本の「芋谷の棚田」が取り上げられた。

 温川の棚田については「山林に囲まれた小さな集落ですが、拓(ひら)けた土地・農地が多く、日照時間も長いことから、古来より農耕の盛んな土地として栄えてきました」などと紹介。台紙では、ブランド米「霧の精」が栽培されていることや毎年5月には色鮮やかなこいのぼりが川をまたいでつるされることなどもアピールしている。

 「温川の棚田」カードは、温川地区にある飲食店「パラダイス・カフェ」で無料配布しており、この地にひかれて7年ほど前に大阪府から移り住んだ同店の石山佑一さん(41)は「温川の棚田は地区の自慢。日本の原風景を見に来ていただけたらうれしい」と話している。

 全国の棚田カードについては、農林水産省ホームページ「棚田に恋」で紹介している。