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2024年12月17日(火)

串本沿岸で新種のエビ 海中公園学芸員が発見

キイカギテシャコエビ(千葉県立中央博物館の駒井智幸さん、和歌山県の串本海中公園センターの平林勲さん提供)
キイカギテシャコエビ(千葉県立中央博物館の駒井智幸さん、和歌山県の串本海中公園センターの平林勲さん提供)
 和歌山県の串本海中公園センターと千葉県立中央博物館は17日、串本町沿岸で新種のエビが見つかったと発表した。「キイカギテシャコエビ(紀伊鈎手蝦蛄蝦)」と名付けられ、動物分類学の学術誌「Zootaxa(ズータクサ)」に論文が掲載された。

 新種のエビは2018年5月、串本町有田にあるセンター前の水深14メートルでセンターの平林勲学芸員が採集した。同博物館の駒井智幸・動物学研究科長が精査し、新種であることが分かった。体長約1センチで、半透明の白色。紀伊半島で発見されたことにちなみ名付けられた。

 センターによると、カギテシャコエビ属のエビ類は、平たい鎌のような第一胸脚が特徴で、これまで世界で15種、国内で3種見つかっている。日本で記録されている3種類はいずれも過去20年間に発見されたもので、そのうち2種が琉球列島、1種が本州の温帯域で見つかっている。同属のうち、4種は海中洞窟などから見つかっているが、その他多くの種は比較的浅い海に生息している。海底に穴を掘って隠れすむという生態から、採集されることが少ないという。

 新種のエビは、串本町から1個体しか見つかっていないため、詳細な分布域については不明だが、本州沿岸海域から2種目の発見となった。

 平林学芸員は「今後、新たな個体を採集することができた際には、海中公園水族館で飼育・展示を行い、多くの方にその不思議な姿を知っていただくとともに、生態についても調査をしていきたい」と話した。