和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月16日(土)

避難所の「3密」防げ 災害時に備え紀南の自治体

避難所に配備予定のテントの設営を体験する市職員ら(田辺市新屋敷町で)
避難所に配備予定のテントの設営を体験する市職員ら(田辺市新屋敷町で)
避難所開設訓練で、段ボールパーティションを組み立てる職員たち(19日、那智勝浦町で)
避難所開設訓練で、段ボールパーティションを組み立てる職員たち(19日、那智勝浦町で)
 大雨のシーズンを迎え、避難所での新型コロナウイルス感染リスクを抑制しようと、紀南でも自治体が、3密(密閉、密集、密接)を避けるための資材の配備や訓練を進めている。

■田辺市はテント配備へ

 田辺市は、市内の主要な避難所に、テント70張を配備する。体調が悪い避難者を隔離したり、3密を回避したりするために活用する。

 市は3日、感染防止対策を盛り込んだ避難所の開設訓練を実施。17日には、市防災まちづくり課の職員が配備予定のテントの見本を使って、実際の取り扱い方法を確認した。

 テントはナイロン製で、高さ1・8メートル、底部の面積4・4平方メートル。最大4人を収容できる。ワンタッチで開き、1人でも簡単に組み立てることができる。同課の担当者は「避難者が安心できるよう、感染症対策を整えていきたい」と話した。

 テントは、市内の主要な避難所35カ所に配備する予定。現在、発注の手続き中だが、全国で注文が殺到していることから届くのは年内になるという。

 市は避難所でのコロナ対策としてテントに加え、換気用の大型扇風機、使い捨て手袋、非接触式電子体温計を追加で配備する。

■那智勝浦町が開設訓練

 那智勝浦町は19日、新型コロナを踏まえた避難所の開設方法を確認するため、避難所の運営に関わる職員を対象とした開設訓練に取り組んだ。

 町では町議会6月定例会に、避難所での3密を防ぐための資機材を購入するための費用を盛り込んだ補正予算案を提案して購入。資機材が届いたことから訓練を開いた。

 この日は午前と午後の2回に分け、同町天満の体育文化会館で開き、各部署の職員計約50人が参加した。

 参加した職員はグループに分かれ、新たに購入した1セットで四畳半のスペースを10室確保できる段ボールパーティションや避難所用テントを組み立てたり、感染症対策として、これまでとは異なる避難所運営の方法について説明を受けたりした。

 訓練後、堀順一郎町長は「毎年、避難準備情報などが出ると100~300人の方が避難所に避難しており、特に中学校や小学校が密になる可能性が高い。避難所で罹患(りかん)しない、させないよう対策を徹底し、町民に安心して早期に避難していただきたい」と話していた。