和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

1-3月の景況下げ幅過去最大 和歌山県内、新型コロナ影響

 和歌山社会経済研究所が和歌山県内企業が自社の景況をどうみているか調査したところ、今年1~3月期の指数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、前期(昨年10~12月)より大きく悪化し、現行形式での調査開始以来、最大の下げ幅を記録した。来期(4~6月)も大幅悪化の見通しとなっている。

 研究所は2月28日~3月16日に2千社を対象にアンケートし、759社から回答を得た。自社の景況が良いとみる企業の割合と、悪いとみる企業の割合の差を「県内景況BSI」として集計する方式での調査は、2001年から続けている。

 1~3月期のBSIはマイナス21・1。景況が悪いと答えた企業の割合は35・7%で、良いと答えた企業の割合14・5%を大きく上回った。

 18年10~12月期はプラス5・0だったが、5期連続で悪化。前期のマイナス3・9から、過去最大となる17・2ポイントの落ち込みとなった。

 来期の見通しはさらに悪化し、マイナス33・1。東日本大震災直後の11年4~6月期のマイナス26・6を下回る、10年ぶりの低水準という。さらに今回の調査後に緊急事態宣言や休業要請があったため、見通し以上に悪化するとみている。

■宿泊、飲食で急激悪化 紀南への影響大

 業種別では、ほぼすべてで前期より悪化した。特に「旅館・ホテル業」は影響が大きくマイナス76・0。宿泊者の大幅減により、前期のプラス12・5から88・5ポイントも下がった。来期の見通しもマイナス83・3とさらに落ち込みが予想される。

 「飲食業」もマイナス73・3で、前期のマイナス6・3から急落している。来期の見通しはマイナス53・3だが、調査後の外出自粛要請などで悪化が予想されるという。

 次に悪かったのは、パチンコ店やゴルフ場、スポーツクラブなどの「教養・娯楽サービス業」でマイナス52・9。13年以降最低といい、来期の見通しはマイナス62・5とさらに下降している。

 このような悪影響は、製造業や建設業など、幅広い業種に広がっている。

 地域別では県内4地域のうち、紀南地域がマイナス27・8と最も悪かった。前期はプラス1・2と、4地域で唯一プラスだったが「旅館・ホテル業」などのサービス業や、宿泊施設や給食に関連する食材卸業の景況悪化の影響が大きいという。

■2割「大きなマイナス」

 景況BSIとは別に、新型コロナ感染拡大による影響について企業に聞いたところ「大きなマイナス」と答えたのが19・3%、「ややマイナス」が22・1%、「マイナス影響は今後出てくる」が31・6%で、これらを合わせると73・0%となった。

 「大きなマイナス」と答えた業種の割合が多かったのは、旅館・ホテル業の95・7%、飲食業の60・0%、飲食料品小売業の50・0%など。

 マイナスの影響があると答えた企業に、今後予想される具体的な内容を聞いたところ「取引先からの受注減」が34・3%と最も多く、「日本人の外出機会減少に伴う売り上げ減」29・5%、「仕入れ不足による生産抑制」18・0%、「資金繰りの悪化」15・9%などと続いた。

 研究所は「経済活動の本格的な再開にはもうしばらくの時間が必要。国や県、自治体の支援策の充実を期待するとともに、活用してほしい」としている。