熊楠ゆかりのフジ受難 上富田町岡で神社の森衰弱
和歌山県上富田町岡にある田中神社の森が近年、衰弱が激しくなっている。世界的博物学者である南方熊楠ゆかりの「オカフジ」も垂れるなどの影響を受けている。台風による被害が大きく、地元住民らは回復を期待する。
田中神社の森は、大正時代の神社合祀(ごうし)の際、田辺市で後半生を過ごした熊楠が伐採に反対を唱えて守った。県の天然記念物で、2015年には国の名勝「南方曼陀羅(まんだら)の風景地」に指定された。広さは800平方メートルと小さいが、大木のクスノキやモッコク、イヌマキ、スダジイなど樹種は豊か。「オカフジ」は熊楠が命名したといわれ、森には何本も生えている。普通のフジより房が短く、花びらが大きくて紫色が薄いが、翼弁の色が濃いのが特徴。
この森の衰弱は、1990年代後半に一部が伐採されたことが引き金になったという。その後、環境の変化に加え、台風の強風によって枝が折れるなどの被害を受けた。ここ数年では2018年にあった台風の影響が大きく、森の中から仰ぐと空がかなり見えるほどになっている。
フジは樹木に絡み付いており、その樹木の枝が折れたことで垂れ下がるようになった。特に鳥居近くの大きなフジが今年春、鳥居よりも低い位置まで垂れ下がり、地元住民らも危険もあるとして気を付けていた。
このため、町教育委員会から依頼を受けた樹木医である岡谷造園代表の岡谷善博さん(57)=広川町=が状況を確認。つるをワイヤとロープを使って引き上げてそのままつるし、根元付近は倒れないように支柱を設置した。岡谷さんは「5年前から見ているが、台風で樹木が傷み、まだ回復できていない。フジはもっと太くなればワイヤが取れるようになると思う」と話していた。
神社総代長の射場秋彦さん(78)は「オカフジは熊楠ゆかりで、田の神様である田中神社のシンボルでもある。なんとか回復してもらいたい」と話している。
田中神社の森は、大正時代の神社合祀(ごうし)の際、田辺市で後半生を過ごした熊楠が伐採に反対を唱えて守った。県の天然記念物で、2015年には国の名勝「南方曼陀羅(まんだら)の風景地」に指定された。広さは800平方メートルと小さいが、大木のクスノキやモッコク、イヌマキ、スダジイなど樹種は豊か。「オカフジ」は熊楠が命名したといわれ、森には何本も生えている。普通のフジより房が短く、花びらが大きくて紫色が薄いが、翼弁の色が濃いのが特徴。
この森の衰弱は、1990年代後半に一部が伐採されたことが引き金になったという。その後、環境の変化に加え、台風の強風によって枝が折れるなどの被害を受けた。ここ数年では2018年にあった台風の影響が大きく、森の中から仰ぐと空がかなり見えるほどになっている。
フジは樹木に絡み付いており、その樹木の枝が折れたことで垂れ下がるようになった。特に鳥居近くの大きなフジが今年春、鳥居よりも低い位置まで垂れ下がり、地元住民らも危険もあるとして気を付けていた。
このため、町教育委員会から依頼を受けた樹木医である岡谷造園代表の岡谷善博さん(57)=広川町=が状況を確認。つるをワイヤとロープを使って引き上げてそのままつるし、根元付近は倒れないように支柱を設置した。岡谷さんは「5年前から見ているが、台風で樹木が傷み、まだ回復できていない。フジはもっと太くなればワイヤが取れるようになると思う」と話していた。
神社総代長の射場秋彦さん(78)は「オカフジは熊楠ゆかりで、田の神様である田中神社のシンボルでもある。なんとか回復してもらいたい」と話している。