和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

自宅待機困難児童に居場所 新型コロナでみなべの小学校

担任(左)の家庭訪問で笑顔を見せる児童=9日、和歌山県みなべ町西岩代で
担任(左)の家庭訪問で笑顔を見せる児童=9日、和歌山県みなべ町西岩代で
間隔を空けて席に着き、教室で自習をする上南部小学校の児童(10日、和歌山県みなべ町谷口で)
間隔を空けて席に着き、教室で自習をする上南部小学校の児童(10日、和歌山県みなべ町谷口で)
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策の一環で、和歌山県みなべ町内の小学校は2日午後から臨時休校となっているが、10日からは、保護者が仕事を休むことができず、児童が自宅などで1人で過ごすことができない場合の受け入れを各学校で始めた。町教育委員会の承認を経て、学校で自習などをする体制にしている。

 教委は保護者宛てに「ご家庭で見る人がいない、子どもが一人で留守番できない場合など、真に支障がある場合のみご相談ください」と通知して、児童の居場所の確保を目的に受け入れを始めた。時間は午前8時~午後4時半。

 上南部小学校では10日は4人の児童を受け入れた。普段は近くの生涯学習センター隣にある同校の学童保育所も、午前中は小学校内に設け、職員が見守る中、一緒に自習をするなどした。湯川三生校長は「距離を空けて座るようにしたり、15分置きに換気したりしている」と話した。

 町教委によると、10日は他に、学童保育所に申し込みしておらず、家庭で見ることが困難な児童について、南部、高城、清川の各小学校で1人ずつ受け入れがあった。

 豊田泰猛教育長は「日がたつと自宅で子どもを見ることがどうしても困難になってきている家庭もあるし、小さい子どもが自宅待機で憔悴(しょうすい)しているという声も聞き、少しでも学校施設を利用し、保護者の不安、子どもの寂しさを和らげ、安心して過ごせるようにしたい」と考えたという。

 「感染拡大の防止に理解と協力をお願いし、家庭で子どもを見られる人は見てほしい。子どもたちは学校にも来られず、いろいろな施設も使えず、大変心配しているが、学校再開に向けて課題やトレーニングに励み、再開時には元気に登校してもらいたい」と話す。

■担任が家庭訪問 「学校に行きたい」の声も

 小学校では、自宅学習のためのプリントを配布。担任が家庭訪問して、回収して次のプリントを渡したり、子どもの様子を確認したりもしている。

 岩代小学校では9日、休校になって以来初めて、全学年一斉に担任が家庭訪問した。

 同町西岩代の農業、中早大輔さん(38)の長女で同校2年の未空ちゃん(8)は、担任が訪れると笑顔で、自宅学習のプリントを見せて渡した。担任は「よくできているね」と声を掛けた。運動に縄跳びもしているといい、うれしそうに縄跳びも披露した。

 下の3人の子どもは保育園に行っているといい、母親の志津賀さん(31)も通常であれば農業をしているが、今は休んで子どもと一緒に過ごしている。「1カ月近く休校で勉強面が心配。取り戻せるのだろうか」と話す。

 大輔さんは「子どもには手伝いもしてもらうが、できることにも限りがあるし」と戸惑いも見せるが「親子の時間がつくれるとプラスにも考えている。学校で勉強させてもらっていた時間がなくなった分、勉強に集中する時間はつくってあげなければ」と話し、自宅学習のための教材も買ったという。未空ちゃんも「学校に行きたい」と話した。

 町内の他の保護者にも声を聞いた。

 小学3年生と5年生の子どもがいる公務員男性(52)の家では妻も仕事をしており、祖父母が子どもを見てくれているという。兄弟で過ごし、午前中は勉強をしたり、外で遊んだりしているが、午後は時間を決めてゲームなどで遊んでいるという。「やむを得ない状況だとは思うが、早く学校に行ってもらえるようにしてほしい」と話す。

 自営業の男性(47)は中学生と高校生2人の3人の子どもがいる。「クラブ活動も休みで中学生の息子はストレスを感じているようで、自主的に外へ走りに行ったりもしている。高校生の子どもたちは家事の手伝いをしたりしている。外へ遊びに行ったらいいとも言えないし、どうしたらよいか悩んでいる。いつ終息するのか」と話す。