和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

ニホンミツバチ育てよう みなべ町に有志の会発足

ニホンミツバチを増やす活動拠点について話し合うメンバー(和歌山県みなべ町清川で)
ニホンミツバチを増やす活動拠点について話し合うメンバー(和歌山県みなべ町清川で)
巣箱の中のニホンミツバチ
巣箱の中のニホンミツバチ
 世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の中で重要な役割を担っている、ニホンミツバチを育てる取り組みをしようと、和歌山県みなべ町で住民有志による会が発足した。メンバーには「ニホンミツバチが生息できる環境をつくることは、梅にも山にとっても良いこと」という思いがある。3月1日に町内で巣箱を設置する催しをする。参加者を募集している。

 ニホンミツバチは日本固有の野生種で、被子植物の草木の花の授粉をし、森づくりに果たす役割が大きいという。町内でも山間部などで巣箱を設置している人がいる。

 1月、町内で世界農業遺産・環境シンポジウムがあり、森に巣箱を設置してニホンミツバチの営巣を促し、草木の受粉率を上げ、自然の森の再生につなげる活動をしているNPO「ビーフォレスト・クラブ」(奈良市)の吉川浩代表(67)が取り組みを発表した。

 クラブによると、スギやヒノキの人工林には、花の蜜もミツバチがすめる洞(木の穴)もない。また、ミツバチの感染病が広まるなど、生息環境は窮地にあるという。みなべ町の高城や清川地域でニホンミツバチを飼育する人から、昨年秋ごろからミツバチが極端に減ったという声もあった。

 吉川さんは「昔の森のようなモデルづくりを一部の森からでも始めてはどうか」と提案。それを受け、趣味でニホンミツバチを飼う町内の人や世界農業遺産の活動に関わる梅農家が集まり、会の立ち上げを決めた。

 10日夜、同町清川の備長炭振興館に8人が集まり、今後の活動の方向性などを確認した。事務局はみなべ川森林組合に置く。

 会では町内の森で巣箱を設置して「保護区」のような場所をつくっていければと考えている。

 吉川代表は「海の魚礁のように巣箱を置いてニホンミツバチを増やしていく。ここでモデルをつくり、日本中の果樹産地にも広めていきたい。取り組みをサポートしたい」と期待する。

 子どもたちに世界農業遺産を伝える活動をしようとしている、メンバーの上野章さん(48)は「農業遺産は多様性が重要。子どもたちにニホンミツバチのことも森林のことも一緒に教えられる」と話す。

 発足した会の下村勤会長(76)は「ニホンミツバチが少なくなってきており、自然環境が大変な状況。何とかしたいという思い。農業遺産の中の大事な要素であり、何とか増やしていきたい。趣旨に賛同し、参加してくれる人を少しずつ増やしていきたい」と語る。

■巣箱設置の参加者募集

 3月1日は午前10時に同町谷口の道の駅「うめ振興館」に集合し、町内の森(現在、調整中)に移動して巣箱を設置。ビーフォレスト・クラブの吉川代表が、ニホンミツバチや活動について話をする。午前中の活動予定。

 参加は無料。希望者は事前申し込みが必要で、みなべ川森林組合(0739・76・2014)へ。