和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年01月31日(金)

予備試験で高い強度 今後、本格的な実証へ、和歌山県産ヒノキ平角材

和歌山県林業試験場で行った、県産ヒノキの平角材の強度試験(上富田町生馬で)
和歌山県林業試験場で行った、県産ヒノキの平角材の強度試験(上富田町生馬で)
 和歌山県林業試験場(上富田町)が、県産ヒノキで断面が長方形の「平角材」の強度を実証するための予備試験をしたところ、断面が正方形の「正角(しょうかく)材」と同様に、県産スギよりも高い強度を示す結果が出た。今後、本格的な試験をしてデータを集め、利用拡大につなげたいという。

 試験場によると、県内の植林地で50年生を超えて利用時期を迎えた木が増えてきており、ヒノキの人工林の蓄積量は全国3位でもある。しかし、スギに比べるとヒノキの利用は少なく、価格の落ち込みも大きい。

 平角材は梁(はり)や桁といった水平に渡して使う「横架材」に使われるが、国産の横架材への利用も少ないことから、試験場は県産ヒノキの活用につなげようと、2023年度から試験に取り組んだ。

 これまでに行った試験で、主に柱に使われる正角材では、県産ヒノキが県産スギと比べて約1・3倍の強度があることが分かっていた。県産ヒノキの平角材の試験はしていなかった。

 今回は予備試験として、県産ヒノキの平角材(断面の幅105ミリ、高さ150ミリ、長さ3メートル)を15本使い、強度試験機にかけて、どれくらいの力を加えると折れるか、曲げの強度性能を調べた。その結果、正角材とほぼ同様の強度を示す数値が出た。

 木材利用部の山裾伸浩部長は「県産ヒノキの平角材も正角材と同様に強度が高いという手応えは得られた。今後は、断面の高さが210ミリと厚みを増やし、長さ4メートルの材で、本数も増やして本格的な試験をして実証し、利用促進につなげていきたい」と話している。