和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月16日(月)

子どもが育つ「畑」に 学校づくりで田上さん講演

幸せな未来を築く力を付けるための教育について語る田上善浩さん(和歌山県田辺市神子浜2丁目で)
幸せな未来を築く力を付けるための教育について語る田上善浩さん(和歌山県田辺市神子浜2丁目で)
 和歌山県田辺市神子浜2丁目の高垣工務店シリコンバーで24日、教育を語り合う会があった。熊本県を中心に理想の教育を追い求めて学校づくりをしている田上善浩さん(53)が「学校は子どもらしさを発揮できる『畑』であることが大切。自分が輝ける畑を選び、作り出せる力を育てるのが教育」と講演した。

 紀南で教育を考え、語り合う場をつくろうと、高垣工務店が企画した。教員、園児や児童の保護者、教育に関心のある市民ら約30人が参加した。

 田上さんは29年間務めた公立中学校教師時代に、学級経営や授業力が話題となり全国セミナーの講師や執筆活動をしていた。現在は熊本県でフリースクール「ウイングスクール」を立ち上げ、校長を務めている。

 同校が掲げるのは、子どもたちが「幸せな未来を築く力」を付ける教育。感性と知性、プロジェクト力をバランス良く身に付けるよう取り組んでいる。「いびつな教育で苦しい思いをしている子どもはたくさんいる。やりたいという感性を大切にしたい」という。

 スクリーンでは小学校時代に不登校だった中学生が、英語で楽しそうにプレゼンテーションしたり、学級崩壊していた学年がコミュニケーションを深めるレクリエーションに熱中したりする姿が映し出された。

 田上さんは「不登校は学校の責任。レストランは客が来なければ、料理やサービスが問題になる。でも、学校は子どもや家庭のせいにする」と指摘。「日本の公教育を変えて、新しい時代をつくりたい。田辺にはコミュニティーを巻き込んで動く潜在能力を感じる」と述べた。

 講演後は参加者が田上さんを囲み、座談会を開いた。高垣工務店では継続的に教育を考える場を設けていきたいという。