髪を構成する「ケラチン」、闇雲に購入したヘアケア商品で後悔することも…美容師が解説する効果的な取り入れ方
最近、ヘアケア界隈でよく見聞きする「ケラチン」。髪の健康には欠かせない成分で、ダメージの補修にも効果ありということで、SNSで話題になるほか、配合されたシャンプーやトリートメントがドラッグストアの目につきやすいコーナーに陳列されるなど、注目を集めています。多様な商品が売られている中、何をどう使ったらもっとも効果的なのか? そもそもケラチンとは? 美容先進国・韓国のヘアケアトレンドにも詳しいイヴォークトーキョー取締役の松島春樹氏に話を聞きました。
【韓国風巻き髪】”全工程”を写真で見る、ブローから巻き方まで徹底解説
■髪が劣化し、傷んでしまうのは「ケラチンが不足しているから」
━━“ケラチン”とはどのような成分なのですか?
「ケラチンはタンパク質の一種で、私たちの爪や髪の毛を構成している成分です。髪の毛は約80~90%がタンパク質で構成されていますので、ケラチンを失っていくと、髪は劣化し、傷んでしまいます」
━━ケラチンは何が原因で失われていくのでしょう?
「ドライヤーやヘアアイロンによる熱刺激や、ブラッシングやタオルドライなどの摩擦による刺激、紫外線や化学物質など、髪へのダメージが原因となります。また、栄養状態が悪かったり、加齢も原因となります」
━━ケラチンが不足すると、髪はどのような状態になってしまうのですか?
「ケラチンには髪の毛に柔軟性や弾力性を与えるアミノ酸が豊富に含まれていますので、不足すると、髪の毛がふわふわになって、まとまらなくなったり、うねりやクセがある人はより強く出るようになってしまいます。また、枝毛や切れ毛の原因にもなります」
━━ケラチンが不足した際は、どのような対処をすればいいのでしょう?
「欠乏してしまったケラチンは、外から入れない限りはなかなか補えません。ただ、市販のケラチン配合のヘアケア製品は含有量が少ないですし、髪の毛の中にケラチンをしっかり定着させるためには熱を使わないと難しい面もありますので、まずは、サロンでケラチンのトリートメントをしてもらうのがおすすめです。その後、プラスαで、日々、自宅でケラチン配合のヘアケア製品を使うといいと思います。サロンでしっかり集中ケアをすると、ケラチンが結合しやすくなりますので、市販製品の効果も高まると思います」
■ケラチン含有製品を一般ユーザーが比較検討するのは難しい現状「信頼できるサロン選びが必要」
━━ケラチン配合のヘアケア商品にはシャンプー、トリートメント、ヘアマスク、ヘアオイルなど様々ありますが、どう使い分けたらいいですか?
「シャンプーとトリートメントは毎日使用するといいと思います。ただ、ケラチンは髪が硬くなる性質があり、人によっては高濃度のケラチンを毎日使い続けると髪が硬くなってしまう可能性があるので、髪の質感が気になったらヘアマスクは1回使用をやめたほうがいいでしょう。その意味でヘアマスクは週に2~3回の使用でいい製品だと思います。ヘアオイルに関しては、今、市販されているものはほぼケラチンが入っていないに等しいくらいの含有量なので、ケラチンによる髪の補修は期待せずに、単なるヘアオイルだと思って使っていただいたほうがいいと思います」
━━市販の製品はケラチンの含有量が少ないということですが、その中でも効果の高いものを選ぶには何を基準にしたらいいのでしょう?
「含有量については、正確な数字はネットで調べても出てきませんので、一般の方が比較検討するのは難しいのが現状です。ケラチンのトリートメントを扱っているサロンであれば、たいていサロンでのトリートメントに紐づいたホームケア用のシャンプーやトリートメントを扱っていますので、しっかりケアしたいのであれば、そういったものを使用するといいでしょう。ただ、サロンで扱っている商品もピンキリですし、日本はケラチンに対しての知識が遅れているので、信頼できるサロンを選ぶことも必要だと思います」
━━日本はケラチン後進国なのですか?
「ケラチン配合のトリートメントは、韓国や欧米などではベーシックな商品になっていますが、日本は正しい知識が浸透しているのはまだ2割程度というのが正直な印象です。その原因のひとつは、ケラチンは髪にハリコシを与える作用があるため、日本のヘアスタイルの流行が髪を柔らかく見せたいという方向にシフトしていくなか、真逆の効果を生むものととらえられてしまったことだと思います。ケラチンより水分を多く与えたほうが髪は柔らかくなりますから、水分の含有量が多いトリートメントが重用されるようになってしまったんです。欧米は日本人とは逆にハリが欲しい髪質なので、ケラチンが重要視されたのだと思います。また、ケラチンはパーマの処理剤にも使われていたのですが、においがきつかったこと、ケラチンの含有量を上げると価格が高くなることも日本が遅れた理由かもしれません」
■低分子のケラチントリートメントも登場、「いい意味で、髪に中高生の頃のような重さが生まれます」
━━同じアジアでも、美容先進国の韓国では、“髪管理”への意識から、ケラチンをはじめ様々なトリートメントが話題となっているそうですね。
「韓国の方はもともと髪の毛のクセが強く、日本人より難しい髪質なので、その分、開発において工夫を重ねてきたのではないかと思います。最近では、韓国発の低分子のケラチントリートメントが日本にも出てきています。クレイツの韓国発ブランド“レピ”のグリーンケラチン4.0という製品で、ケラチンの含有量が日本製に比べて、断然多いのが特徴です。低分子のケラチンが髪の中に入ってしっかり定着するので、驚くほど艶が出ますし、いい意味で、髪に中高生の頃のような重さが生まれます」
━━サロンでのトリートメントでその効果が実感できるのですか?
「その人の状態によると思います。1回サロンでトリートメントしただけで、1ヵ月半くらい艶のあるひじょうに良い状態の髪を維持できる方もいます。ロングヘアでかなり髪が傷んでしまっている人の場合は1回ではケラチンが入り切りません。ただ、3週間に1回くらいの頻度でサロンでのトリートメントを行っていくうちに、常にツルツルでサラサラな状態を維持できるようになる方が多いです」
━━傷んでいる場合は、トリートメントの頻度を上げていく?
「大事なのはケラチンを髪の毛の中に蓄積させることなので、美容院に来るのは2.5カ月に1回という人が多いですが、来るたびにやるのがいいと思います。そしてその間は、美容師に勧められたケラチン配合のヘアケア商品を使って、ホームケアも合わせて“髪管理”を行うのがおすすめです」
━━今、現在、髪のダメージを感じていなくても、自宅でのケアはしたほうがいいですか?
「ダメージが出てからでは遅いので、“予防”としての考え方です。髪は日々成長していますので、とにかく傷む前からケアしておく。あと、ケラチンの欠乏を防ぐためには、ケラチンを構成するタンパク質を日常的に摂取することも大切です。食事で補えない人はプロテインを活用するのも効果的だと思います」
━━今は、ネット上でも様々なヘアケア方法が話題になっていますが、バズっている商品を購入しても、思うほどの効果を得られないこともあります。“髪管理”をするにあたって、商品の選び方について、最後にアドバイスをお願いします。
「僕の感覚ですけれど、SNSの投稿などを見ていると、まだ、ケラチンについては正しい知識が浸透しておらず、“髪管理”という考え方よりは、トレンドだから使うという方が多い印象です。サロンによって『ケラチントリートメント』といっても、ほとんど水分のトリートメントを使用している場合もありますし、それで値段が高いとなると、ケラチンに良いイメージをもたず、1回で止めてしまう人も多いと思います。ですから、口コミの情報だけを頼るのではなく、いかに信頼できるサロンや美容師を見つけていただけるか。闇雲に商品を買って後悔しないように、正しい知識を身に着けることが大切です」
PROFILE/松島春樹
イヴォークトーキョーの取締役ディレクター。骨格に似合わせた小顔に見せるカット技術、髪の毛や顔色がきれいに見えるカラーリングやハイライトをおりまぜたナチュラルデザインカラーが得意。ボブやショートへのカットから、ライフスタイルに合わせた髪のケア方法まで提案してくれる。Instagram:@matsuharu_evoke
【写真で見る】”韓国風巻き髪” ブローから巻き方まで徹底解説
「若作りと見られたくない!」大人女子の前髪アリ or ナシ問題…”韓国風前髪”がその解決策に
「韓国ヘア」なぜ今っぽい? トレンドの背景を美容師が解説、「”かわいい”よりも、”美しい”を目指せる」
【ビフォーアフター写真】小顔効果も…ボブから巻き髪まで「韓国ヘア」スタイリング
コスパ抜群『韓国コスメ』、結局どれがいいの? プロが推す注目ブランド5選
【韓国風巻き髪】”全工程”を写真で見る、ブローから巻き方まで徹底解説
■髪が劣化し、傷んでしまうのは「ケラチンが不足しているから」
━━“ケラチン”とはどのような成分なのですか?
「ケラチンはタンパク質の一種で、私たちの爪や髪の毛を構成している成分です。髪の毛は約80~90%がタンパク質で構成されていますので、ケラチンを失っていくと、髪は劣化し、傷んでしまいます」
━━ケラチンは何が原因で失われていくのでしょう?
「ドライヤーやヘアアイロンによる熱刺激や、ブラッシングやタオルドライなどの摩擦による刺激、紫外線や化学物質など、髪へのダメージが原因となります。また、栄養状態が悪かったり、加齢も原因となります」
━━ケラチンが不足すると、髪はどのような状態になってしまうのですか?
「ケラチンには髪の毛に柔軟性や弾力性を与えるアミノ酸が豊富に含まれていますので、不足すると、髪の毛がふわふわになって、まとまらなくなったり、うねりやクセがある人はより強く出るようになってしまいます。また、枝毛や切れ毛の原因にもなります」
━━ケラチンが不足した際は、どのような対処をすればいいのでしょう?
「欠乏してしまったケラチンは、外から入れない限りはなかなか補えません。ただ、市販のケラチン配合のヘアケア製品は含有量が少ないですし、髪の毛の中にケラチンをしっかり定着させるためには熱を使わないと難しい面もありますので、まずは、サロンでケラチンのトリートメントをしてもらうのがおすすめです。その後、プラスαで、日々、自宅でケラチン配合のヘアケア製品を使うといいと思います。サロンでしっかり集中ケアをすると、ケラチンが結合しやすくなりますので、市販製品の効果も高まると思います」
■ケラチン含有製品を一般ユーザーが比較検討するのは難しい現状「信頼できるサロン選びが必要」
━━ケラチン配合のヘアケア商品にはシャンプー、トリートメント、ヘアマスク、ヘアオイルなど様々ありますが、どう使い分けたらいいですか?
「シャンプーとトリートメントは毎日使用するといいと思います。ただ、ケラチンは髪が硬くなる性質があり、人によっては高濃度のケラチンを毎日使い続けると髪が硬くなってしまう可能性があるので、髪の質感が気になったらヘアマスクは1回使用をやめたほうがいいでしょう。その意味でヘアマスクは週に2~3回の使用でいい製品だと思います。ヘアオイルに関しては、今、市販されているものはほぼケラチンが入っていないに等しいくらいの含有量なので、ケラチンによる髪の補修は期待せずに、単なるヘアオイルだと思って使っていただいたほうがいいと思います」
━━市販の製品はケラチンの含有量が少ないということですが、その中でも効果の高いものを選ぶには何を基準にしたらいいのでしょう?
「含有量については、正確な数字はネットで調べても出てきませんので、一般の方が比較検討するのは難しいのが現状です。ケラチンのトリートメントを扱っているサロンであれば、たいていサロンでのトリートメントに紐づいたホームケア用のシャンプーやトリートメントを扱っていますので、しっかりケアしたいのであれば、そういったものを使用するといいでしょう。ただ、サロンで扱っている商品もピンキリですし、日本はケラチンに対しての知識が遅れているので、信頼できるサロンを選ぶことも必要だと思います」
━━日本はケラチン後進国なのですか?
「ケラチン配合のトリートメントは、韓国や欧米などではベーシックな商品になっていますが、日本は正しい知識が浸透しているのはまだ2割程度というのが正直な印象です。その原因のひとつは、ケラチンは髪にハリコシを与える作用があるため、日本のヘアスタイルの流行が髪を柔らかく見せたいという方向にシフトしていくなか、真逆の効果を生むものととらえられてしまったことだと思います。ケラチンより水分を多く与えたほうが髪は柔らかくなりますから、水分の含有量が多いトリートメントが重用されるようになってしまったんです。欧米は日本人とは逆にハリが欲しい髪質なので、ケラチンが重要視されたのだと思います。また、ケラチンはパーマの処理剤にも使われていたのですが、においがきつかったこと、ケラチンの含有量を上げると価格が高くなることも日本が遅れた理由かもしれません」
■低分子のケラチントリートメントも登場、「いい意味で、髪に中高生の頃のような重さが生まれます」
━━同じアジアでも、美容先進国の韓国では、“髪管理”への意識から、ケラチンをはじめ様々なトリートメントが話題となっているそうですね。
「韓国の方はもともと髪の毛のクセが強く、日本人より難しい髪質なので、その分、開発において工夫を重ねてきたのではないかと思います。最近では、韓国発の低分子のケラチントリートメントが日本にも出てきています。クレイツの韓国発ブランド“レピ”のグリーンケラチン4.0という製品で、ケラチンの含有量が日本製に比べて、断然多いのが特徴です。低分子のケラチンが髪の中に入ってしっかり定着するので、驚くほど艶が出ますし、いい意味で、髪に中高生の頃のような重さが生まれます」
━━サロンでのトリートメントでその効果が実感できるのですか?
「その人の状態によると思います。1回サロンでトリートメントしただけで、1ヵ月半くらい艶のあるひじょうに良い状態の髪を維持できる方もいます。ロングヘアでかなり髪が傷んでしまっている人の場合は1回ではケラチンが入り切りません。ただ、3週間に1回くらいの頻度でサロンでのトリートメントを行っていくうちに、常にツルツルでサラサラな状態を維持できるようになる方が多いです」
━━傷んでいる場合は、トリートメントの頻度を上げていく?
「大事なのはケラチンを髪の毛の中に蓄積させることなので、美容院に来るのは2.5カ月に1回という人が多いですが、来るたびにやるのがいいと思います。そしてその間は、美容師に勧められたケラチン配合のヘアケア商品を使って、ホームケアも合わせて“髪管理”を行うのがおすすめです」
━━今、現在、髪のダメージを感じていなくても、自宅でのケアはしたほうがいいですか?
「ダメージが出てからでは遅いので、“予防”としての考え方です。髪は日々成長していますので、とにかく傷む前からケアしておく。あと、ケラチンの欠乏を防ぐためには、ケラチンを構成するタンパク質を日常的に摂取することも大切です。食事で補えない人はプロテインを活用するのも効果的だと思います」
━━今は、ネット上でも様々なヘアケア方法が話題になっていますが、バズっている商品を購入しても、思うほどの効果を得られないこともあります。“髪管理”をするにあたって、商品の選び方について、最後にアドバイスをお願いします。
「僕の感覚ですけれど、SNSの投稿などを見ていると、まだ、ケラチンについては正しい知識が浸透しておらず、“髪管理”という考え方よりは、トレンドだから使うという方が多い印象です。サロンによって『ケラチントリートメント』といっても、ほとんど水分のトリートメントを使用している場合もありますし、それで値段が高いとなると、ケラチンに良いイメージをもたず、1回で止めてしまう人も多いと思います。ですから、口コミの情報だけを頼るのではなく、いかに信頼できるサロンや美容師を見つけていただけるか。闇雲に商品を買って後悔しないように、正しい知識を身に着けることが大切です」
PROFILE/松島春樹
イヴォークトーキョーの取締役ディレクター。骨格に似合わせた小顔に見せるカット技術、髪の毛や顔色がきれいに見えるカラーリングやハイライトをおりまぜたナチュラルデザインカラーが得意。ボブやショートへのカットから、ライフスタイルに合わせた髪のケア方法まで提案してくれる。Instagram:@matsuharu_evoke
【写真で見る】”韓国風巻き髪” ブローから巻き方まで徹底解説
「若作りと見られたくない!」大人女子の前髪アリ or ナシ問題…”韓国風前髪”がその解決策に
「韓国ヘア」なぜ今っぽい? トレンドの背景を美容師が解説、「”かわいい”よりも、”美しい”を目指せる」
【ビフォーアフター写真】小顔効果も…ボブから巻き髪まで「韓国ヘア」スタイリング
コスパ抜群『韓国コスメ』、結局どれがいいの? プロが推す注目ブランド5選