国語力つける授業を 中学教員に「指南書」、和歌山県内の教育研究会
和歌山県内の元国語教員らでつくる「きのくに国語教育研究会」(会長=藤田直子・和歌山信愛大学客員教授)は、指導方法に悩む中学校国語教員向けに冊子「国語力をつける授業を創る」を作成した。藤田会長は「先生の困り事を払拭するための提案内容をまとめた。指南書として活用してほしい」と話し、県内の担当教員350人に配布する。
中学校の国語教員だった藤田会長と、研究会事務局で、高校の国語教員だった鈴木晴久高野山大学教授がこのほど、県教育委員会の宮崎泉教育長を訪問し、冊子を贈呈した。
全国学力テストで県内中学校の国語は、2021年が全国45位、22年46位、23年43位、今年44位と下位にある。研究会はこのような実態に危機意識を持ち「県教委も分析して取り組んでいるが、経験値がある者として手伝いたい」と、22年度に県内の中学国語教員に指導上の困り事がないかアンケートをした。約8割の159人から回答を得た。
冊子では、この結果を分析し、「学習指導要領」の内容を踏まえた上で、項目ごとに指導の考え方や方法を提案している。
例えば「読むこと」の項目では、教員から「要約の指導方法を模索している」「手応えを感じない」「読解力はどのようにして育つのか」などの声があった。これについて、従来のように教材を詳細に読解させるのではなく、まず全体像や構図を把握させた上で、ポイントを絞って理解させることが必要だとしている。
具体的な方法として、新しい教材に入った際に「読解地図」を書かせることを提案。生徒が全体的に読み取った内容を、各自で地図のように表すことで、楽しみながら取り組めるほか、教員は理解度を把握して授業を進めることができるとしている。
■時代の変化に対応を
藤田会長によると、子どもの体験や対話、読書から来る知識が減少し、伝える際も語彙(ごい)が少なく、特定の言葉に偏っていると感じるという。「従来の読解の方法は、今の子どもたちは合わないことが分かった。違う形の方法が必要」と指摘。以前は教科担当の教員間で論議する機会も多かったが、いまは学校規模縮小で1教科1人という学校もある。ただ、そのような場合でも教科を超えた学び合いが有効だとしている。
授業で情報通信技術(ICT)の活用が求められていることは、ICTありきになっている授業もあるとし、教科特性を踏まえ、バランスを取るべきだとした。
研究会では、中学生の「漢字力」を調査している。今春、中学生5千人の協力を得て、小学校で習う漢字をどれだけ覚えているか調べた。今後、同じ生徒を対象に経年変化を調べ、提言につなげたいとしている。
中学校の国語教員だった藤田会長と、研究会事務局で、高校の国語教員だった鈴木晴久高野山大学教授がこのほど、県教育委員会の宮崎泉教育長を訪問し、冊子を贈呈した。
全国学力テストで県内中学校の国語は、2021年が全国45位、22年46位、23年43位、今年44位と下位にある。研究会はこのような実態に危機意識を持ち「県教委も分析して取り組んでいるが、経験値がある者として手伝いたい」と、22年度に県内の中学国語教員に指導上の困り事がないかアンケートをした。約8割の159人から回答を得た。
冊子では、この結果を分析し、「学習指導要領」の内容を踏まえた上で、項目ごとに指導の考え方や方法を提案している。
例えば「読むこと」の項目では、教員から「要約の指導方法を模索している」「手応えを感じない」「読解力はどのようにして育つのか」などの声があった。これについて、従来のように教材を詳細に読解させるのではなく、まず全体像や構図を把握させた上で、ポイントを絞って理解させることが必要だとしている。
具体的な方法として、新しい教材に入った際に「読解地図」を書かせることを提案。生徒が全体的に読み取った内容を、各自で地図のように表すことで、楽しみながら取り組めるほか、教員は理解度を把握して授業を進めることができるとしている。
■時代の変化に対応を
藤田会長によると、子どもの体験や対話、読書から来る知識が減少し、伝える際も語彙(ごい)が少なく、特定の言葉に偏っていると感じるという。「従来の読解の方法は、今の子どもたちは合わないことが分かった。違う形の方法が必要」と指摘。以前は教科担当の教員間で論議する機会も多かったが、いまは学校規模縮小で1教科1人という学校もある。ただ、そのような場合でも教科を超えた学び合いが有効だとしている。
授業で情報通信技術(ICT)の活用が求められていることは、ICTありきになっている授業もあるとし、教科特性を踏まえ、バランスを取るべきだとした。
研究会では、中学生の「漢字力」を調査している。今春、中学生5千人の協力を得て、小学校で習う漢字をどれだけ覚えているか調べた。今後、同じ生徒を対象に経年変化を調べ、提言につなげたいとしている。