和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

被告側が国賠訴訟検討 和歌山地検で不適正取り調べ、前首相襲撃事件

 和歌山市の雑賀崎漁港で昨年4月、衆院選和歌山1区(旧)補欠選挙の応援演説に訪れていた当時の岸田文雄首相に向け、爆発物を投げ込んだとして殺人未遂などの罪で起訴された木村隆二被告(25)が、和歌山地方検察庁で不適正な取り調べを受けていたことに対し、木村被告の弁護士が6日、国家賠償請求や刑事告発を検討していることを明らかにした。

 和歌山市内で会見した。木村被告から昨年5月12日の取り調べ中に接見の申し出があり、30代の男性検察官から人格を否定されるような発言を相次いでされたという訴えがあった。

 「かわいそうな木村さん」「引きこもっていて、出てきたら世の中に迷惑をかけるんだね」「われわれは法律のプロで、大リーグだとすれば、あなたは小学校の低学年だ」などの発言があったとされる。

 弁護士は、担当検事を指導する立場に当たる主任検察官に口頭で苦情を申し入れた。最高検察庁監察指導部にも、苦情や該当の検察官を取り調べ担当から外すよう申し入れ書を送付。最高検は不適正な取り調べだったと認定している。

 この取り調べの数日前には、目を閉じて黙秘権を行使する木村被告に対し、目を開けることで答えさせるような質問が繰り返されたとし「困惑させ、黙秘権を実質侵害している」と是正を申し入れていたという。

 赤木俊之弁護士は会見で「検察なりの真実をつくって、それをしゃべらせることが正義という発想をなくさないと、こういう取り調べは続く」と指摘。取り調べで真相を解明しようとするのはなく、客観証拠を重視していくべきだとした。

 国家賠償訴訟や刑事告発については、木村被告と相談の上、検討するという。