和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

運動50周年記念誌作る 歴史編と自然編、天神崎大切にする会、和歌山

天神崎の自然を大切にする運動50周年記念誌の「自然編」(上)と「歴史編」
天神崎の自然を大切にする運動50周年記念誌の「自然編」(上)と「歴史編」
 公益財団法人「天神崎の自然を大切にする会」は、天神崎保全運動の50周年記念誌を作った。「歴史編」(A4判、212ページ)と「自然編」(A5判、100ページ)の2冊ある。歴史編は1500部、自然編は2千部作成。会員に送付したほか、和歌山県の田辺市立図書館などに置いている。


 大切にする会は1974年2月に設立。天神崎の海岸林に別荘地の造成計画が持ち上がったのを機に、寄付金で土地を買い取る「ナショナル・トラスト運動」を続けるなど自然環境の保全に努めている。

 歴史編は、会の活動の初期から関わり、業務執行理事や相談役を務めて今年2月に亡くなった故・玉井済夫さんが主となってまとめた。「天神崎の保全運動を振り返って」と題し、会の出発から募金や支援の広がり、別荘予定地の土地取得、清掃や自然観察教室、子どもふるさと絵画展などの活動、保全運動を引っ張った故・外山八郎さんのことを紹介している。

 資料集として、運動の歴史に関する文書や写真、新聞記事、50周年記念誌を作るに当たって募集した写真も掲載している。

 自然編は、会の評議員や理事らが執筆。天神崎で見られるイソギンチャクや貝、エビ、カニの仲間、魚類など海の生き物と、陸地の植物や昆虫、動物を解説している。

 歴史編の中で、玉井さんは「今、いろんな生物を見てはしゃいでいる子どもたちの姿は、この運動の成果であり、私たちへの激励でもある。これまでの皆様方のご支援に心から感謝申し上げる。明日のために、子どもたちのために、遠い未来のために、今後とも皆様方の温かいご支援を心からお願い申し上げる」と記している。

 会の土永知子代表理事は「発刊にあたって」で「私は自然を『守る』のではなく『大切にする』という本会のコンセプトは、敵をつくるのではなく平和に共存することを目指しているのだと思っている。今後もこのコンセプトに誠実に向き合って活動に取り組み、50年の歴史で受けた大きなご恩を次世代に渡すという、いわゆる『恩送り』をしていきたい」としている。

 50周年記念誌は、希望者に無料で配布する。問い合わせは、天神崎の自然を大切にする会(070・9072・0209)へ。