和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

ターゲットは高校生 新聞機能で地域貢献を、紀伊民報と都市圏大手社員が協働

オンラインで発表を聞く真砂充敏市長(6日、和歌山県田辺市役所で)
オンラインで発表を聞く真砂充敏市長(6日、和歌山県田辺市役所で)
 和歌山県田辺市の事業所と都市圏大手企業社員が協働して、地域課題を解決するビジネスに挑む「ことこらぼ」の成果発表会が6日、オンラインであった。紀伊民報チームは、読者が少ない高校生をターゲットに、新聞の情報発信、収集機能を生かした地域貢献を提案した。


 「ことこらぼ」は日本能率協会マネジメントセンター(東京都)の人材育成事業で、田辺市が協力している。今期は紀伊民報など3社が参加。6月から取り組みを始めた。

 紀伊民報チームが着目した地域課題は、人口の社会減。高校卒業後に進学や就職で転出し、地元に戻る割合が少ないことが大きな要因になっている。そこで、高校生に地域を知り、地域で活躍する大人とつながってもらうことで、地元への愛着を育てる仕組みができないかと考えた。

 打ち出した手段は、学生と地域をつなぐSNSの活用▽学生向け紙面の新設▽青年実業家の紙面紹介▽学生が軸となるイベント企画▽新聞・地域の大人との接点をつくる出前授業―の五つ。SNSの活用はすでにスタートしている。

 高校生へのヒアリングで、紀伊民報の認知度は100%だったにもかかわらず、読者はほぼゼロ。情報収集はSNSが主だった。チームではインスタグラムで学生向け公式アカウントを新設。学生が楽しめるスポットやイベント、地域情報の発信を始めた。将来的にはアンケート機能など紙面と連動した活用を目指す。

 また「身近な人が載っていたり、興味がある記事があれば新聞を読みたい」という声は多く、高校生の関心事を中心とした新紙面を企画する。紙面づくりに参加する高校生サポーターの育成も図る。

■若者と地域情報共有

 小山雄希智社長は「都会からの視点で地域や会社を見つめ直し、紀伊民報の地域密着性が重要な役割を果たすと気付いた。ターゲットである若者と地域の情報を共有できれば、もっと魅力ある地域づくりができる。課題は進化し続ける若者の価値観に対し、情報をどのように伝えれば共感してもらえるか。試行錯誤の連続になる」と話した。

 真砂充敏市長は「まとまりのあるプラン。地元の情報は案外、知らない場合が多い。紀伊民報の役割は重要で、高校生の地域への愛着を一層育ててほしい」と講評した。

 チームに参加した日本生活協同組合連合会の小池史朗さん(東京都渋谷区)と花王カスタマーマーケティングの栗山怜子さん(大阪市)、三井住友海上の篠原裕貴さん(北九州市)の3人は「ゼロから課題を考え、解決策まで携われたのは貴重な体験。今後も関係人口として積極的に田辺に関わりたい」と話している。

 この他、体験学習などを行う山里舎(本宮町)が「事業最適化に向けて」、美装業の「クラシアル」(上屋敷1丁目)が「活気ある人の流れの創出」と題したプランを発表した。