和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年09月20日(金)

漢方薬素材「酸棗仁」に認知症を予防し脳を若返らせる作用を発見

セレブロファーマ株式会社
セレブロファーマと帝人による共同研究成果

大阪公立大学発ベンチャー セレブロファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役:富山貴美)は、帝人株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役:内川哲茂)と共同で、漢方薬の素材である「酸棗仁」に認知症を予防し脳を若返らせる作用のあることを発見しました。酸棗仁を独自の製法により処理することで、中高齢者が自らの判断で服用できる安全、安価な認知症予防食品の開発が可能となり、認知症の克服に役立つものと考えられます。本研究成果は、2024年9月13日に学術誌「eLife」にonline掲載されました。




【背景】
- 認知症はAβ、タウ、αシヌクレインなど異常なタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が変性することで発症すると考えられています。そのため、異常タンパク質を取り除くことで認知症を防ぐことができると考えられますが、神経細胞が死滅した後では異常タンパク質を取り除いても効果はないため、認知症を防ぐには、神経細胞が元気なうちから予防することが重要です。
- 認知症の予防薬開発では、様々な原因タンパク質に作用し、傷んだ神経細胞を修復できることが理想です。また、安全・安価で、中高齢者が自らの判断で購入・服用できることが望まれます。しかし、医薬品ではこれらの条件をすべて満たすことは難しく、多彩な成分からなり日々摂取可能な食品こそ認知症予防に適していると考えられます。
- 近年、認知症や糖尿病など加齢(aging)に伴って発症率が高まる加齢性疾患の背景には身体機能の衰え、すなわち老化(senescence)があり、特に細胞の老化が病気の発症・進行に重要な役割を果たしていると考えられるようになってきました。老化現象を制御することで加齢性疾患を予防・治療する試みも始まっています。
- セレブロファーマ株式会社は、大阪公立大学大学院医学研究科認知症病態学(現 老化・認知症制御学寄附講座)の研究成果をもとに起ち上げられた大学発のベンチャー企業であり、認知症の原因となる分子を取り除き、脳の機能を維持・向上させる食品・医薬品の開発を行っています。当社は、ニュートラルシューティカル事業を展開する帝人株式会社と、認知症予防・治療ソリューションの社会実装を目指して2019年から共同研究を行ってきました。


【研究内容】
- 酸棗仁の熱水抽出物(エキス)をアルツハイマー病、前頭側頭型認知症、パーキンソン病・レビー小体型認知症のモデルマウスに1カ月間経口投与したところ、脳のAβ、タウ、αシヌクレイン病理が改善し、認知機能(*1)や運動機能(*2)が回復しました。
- 熱水抽出ではなく、酸棗仁を単純に破砕しただけの粉末を作製し、前頭側頭型認知症モデルマウスに1カ月間経口投与したところ、エキスよりも強い脳病理改善効果、認知機能改善効果を示し、認知機能は正常マウス以上のレベルにまで改善しました(図1)。
- 酸棗仁の単純破砕粉末を正常の老齢マウスに1カ月間経口投与したところ、脳の細胞老化(*3)が抑制され(図2)、認知機能が若いマウスと同レベルにまで向上しました。さらに、傷んだ神経細胞の修復に必要な脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現や神経新生も増加しました。

*1)モリス水迷路で評価、*2) ロータロッドで評価、*3)細胞老化マーカーであるp16、p21、γH2AXを染色・定量し評価


図1.認知症モデルマウスでの酸棗仁エキスと単純破砕粉末の認知機能改善効果 (モリス水迷路試験)


図2.老齢マウスでの酸棗仁単純破砕粉末の抗老化作用



【今後の展開】

セレブロファーマ株式会は、今回の動物試験での結果を踏まえ、今後、酸棗仁の単純破砕粉末のヒトでの安全性や有効性の確認を進めながら、帝人株式会社と共同で認知症予防食品の社会実装を目指します。


【論文情報】

タイトル:Simply crushed Zizyphi spinosi semen prevents neurodegenerative diseases and reverses age-related cognitive decline in mice
著者:Tomohiro Umeda, Ayumi Sakai, Rumi Uekado, Keiko Shigemori, Ryota Nakajima, Kei Yamana, Takami Tomiyama
雑誌:eLife
掲載URL:https://elifesciences.org/reviewed-preprints/100737








■セレブロファーマ株式会社 概要
本社 :大阪市中央区南久宝寺町4丁目5-6-3F
研究室:大阪市阿倍野区旭町1-4-3
大阪公立大学大学院医学研究科 老化・認知症制御学寄附講座
代表者:富山 貴美
設立日: 2020年3月
ウェブサイト: https://cerebro-p.com

セレブロファーマはセルフケア食品・医薬品の開発を通して認知症のない社会を目指します。
世界の認知症患者数は、社会の高齢化に伴い、増加の一途をたどっており、我が国では、2025年には認知症患者数は700万人を超え、65歳以上の5人に1人が認知症を発症する計算になると予測されています。その医療・介護にかかる社会的費用は莫大なものとなり、政府の財政を圧迫します。また、患者様のご家族や介護に関わる人たちの精神的・肉体的・経済的負担も相当なものです。現代の医療水準では、一旦認知症を発症するとなかなか元の正常な状態には戻りません。
私たちセレブロファーマは、脳の老化や病気と闘うために、健やかな身体と記憶を保ち充実した人生を送るために、認知症の原因となる分子を取り除き、脳の機能を維持・向上させる革新的な食品・医薬品を開発することによってセルフ・メディケーションの新しい地平を拓きます。


<本件に関するお問い合わせ>
セレブロファーマ株式会社 本社
E­mail: info@cerebro-p.com
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