和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

地域活性化の拠点に 大学生ら旧すさみ病院を改修、和歌山

1階をすさみキャンパスの事務所として活用している旧国保すさみ病院(和歌山県すさみ町周参見で)
1階をすさみキャンパスの事務所として活用している旧国保すさみ病院(和歌山県すさみ町周参見で)
部屋の壁を河原の石で飾る大学生
部屋の壁を河原の石で飾る大学生
 和歌山県すさみ町周参見にある旧国保すさみ病院をまちづくりの拠点にしようと、都市部の大学生らが空き部屋をデザインして改修している。部屋は宿泊所などとして活用する予定。この事業に取り組む一般社団法人すさみキャンパス(すさみ町周参見)は「この施設を、人を元気にしていく場所にしていきたい。町外から来る人だけでなく、町民にも気軽に来てもらえる場所になれば」と話している。


 すさみキャンパスは、町が出資する地域活性化を図る団体。町の新たな特産品の開発や空き家の活用、都市部からの教育旅行誘致などに取り組んでいる。

 今回参加しているのは、地域おこし協力隊に関心を持っている大学生ら。協力隊に応募する前に、2週間~3カ月間現地を訪れて実際の活動内容や生活を体験できる総務省の「地域おこし協力隊インターン」を活用している。都市部からの移住促進や関係人口の増加も目的としている。

 インターン生は、すさみキャンパスの岩崎友彦代表理事(51)の案内で町内を巡り、地域の魅力や課題についての理解を深めた上で、旧病院の部屋をどのような空間にするかを考え、改修をしている。

 7月21日から2週間、大学生1人と休職中の社会人1人が改修作業に取り組んだ。5~16日には、大学生4人が作業に取り組んだ。9、10月にもインターン生を受け入れる予定。

 8月13日には、武蔵野美術大学(東京都)の学生3人と法政大学(同)の学生1人のチームが、改修作業に汗を流した。部屋の改修テーマは「流れのままに」で、河原の石で壁を飾るなどした。

 武蔵野美術大3年の小林花樺さん(21)は「このように大きな作品を作るのは初めてなので、楽しく、うれしい」、岩崎代表理事は「町民の方々とも一緒になって施設を改修していきたい」と話した。

 旧病院は、鉄筋コンクリート3階建て、築約50年。耐震補強工事をしているが、南海トラフ巨大地震で想定される津波の浸水区域内にあることから、町は、昨年11月、病院を高台へ新築移転した。旧病院は解体に約2億円かかることなどから利用を検討。4月から、1階はすさみキャンパスの事務所やコワーキングスペース(共有オフィス)として活用している。2階には10部屋、3階には15部屋あり、これらの一部を大学生らが改修している。