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2024年09月12日(木)

【動画】燃え盛る「流れ施餓鬼」 わら舟で新仏送る、和歌山県田辺市の清流

新仏の位牌を載せたわら舟が流されながら燃え盛る「流れ施餓鬼」(15日、和歌山県田辺市下川上で)
新仏の位牌を載せたわら舟が流されながら燃え盛る「流れ施餓鬼」(15日、和歌山県田辺市下川上で)
 和歌山県紀南地方の各地でお盆の行事があった15日、田辺市下川上の日置川支流の安川では、県無形民俗文化財の盆行事「流れ施餓鬼(せがき)」が営まれた。新仏の位牌(いはい)を載せた舟が川に流されながら燃え盛る様子を遺族らが見送った。

 江戸時代の文化年間(1804~18)の大水害をきっかけに始まったとされる行事。地元の愛郷会が毎年8月15日に営んでいる。

 同日午前7時から愛郷会の会員や遺族らが、マダケや麦わら、稲わらを使って全長約7メートルの舟を作った。

 夕方には雨が断続的に降ったため、わら舟にはシートをかぶせて待機。降りやんだ午後6時半から、河原に置いたたいまつに火をともし、地元の法伝寺の瀬戸道雄住職が読経、参列者が手を合わせた。わら舟に7柱の位牌を載せると火が付けられ、川に送り出した。

 愛郷会の桑原信彦会長(69)は「雨にもかかわらず多くの人が訪れ、無事に営むことができて良かった。伝統を守るため、他の地域から手伝っていただける人がいたら歓迎したい」と話していた。

 95歳の父親の初盆になった地元出身で三重県四日市市在住の大学教授、山本伸さんは「父親、私、長男と親子3代にわたって伝統行事に関わってきた。父親の位牌を載せることができて感無量」と話した。