和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月25日(水)

安心の地域つくりたい かみとんだ防災プロジェクト、和歌山

能登半島地震のボランティア体験を報告する参加者(和歌山県上富田町朝来で)
能登半島地震のボランティア体験を報告する参加者(和歌山県上富田町朝来で)
 近い将来発生が予想される大規模地震に備え、和歌山県上富田町で、安全安心な地域社会づくりを目指す「かみとんだ防災プロジェクト」(統括・後棟晃さん)が始まった。町内の有志が中心になって「人」「住まい(空き家)」「建設業界」をテーマにした事業に3年間かけて取り組む。


 テーマの「人」は地域のつながりをつくり、防災について考える機会を設けるのが目的。「住まい」は空き家の調査や活用、「建設業界」は建設業界と町のネットワーク強化を図る。

 第1回イベントが7月末、同町朝来の交流施設「つくるとつなぐ」であった。今年1月に発生した能登半島地震でのボランティア体験の報告を受け、約20人の参加者が今、自分たちにできることを考えた。

 報告したのは上富田町職員の楠本剛史さんと小倉英樹さん、個人でボランティアに参加した幾島浩恵さんと根岸浩章さんの4人。楠本さんは2月、他の3人は4月に訪れている。震災から4カ月が経過しても復旧が進んでいない様子や住民による自主的な避難所運営の難しさなど、現地の写真を交えて紹介した。

 意見交換では「避難所運営で地域の平時のつながりがいかに重要か実感した」「町内会の加入者が減少しているが、防災を切り口に参加してもらってはどうか」「避難所に長期間住まざるを得ない人の精神的なサポートはあるのか」といった声があった。

 「平時はキャンプ場として活用でき、災害時は避難場所となるような施設を準備できないか」「同時に被災することのない遠方の自治体と相互支援協定を結び、平時から交流できないか」といったアイデアや、「今でも自分が被災するイメージを持つのは難しい」といった本音もあった。

 イベントは今後も月1回ペースで企画する。プロジェクト事務局は「地域に顔見知りを増やし、災害時に頼れる人がたくさんいる状態をつくりたい。町の防災力を3年間で、10~20年以上加速させたい」と話している。