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2024年11月21日(木)

「和歌山フォント」誕生 障害者とデザイナー、創作活動を仕事に

和歌山フォント、パターンの作品
和歌山フォント、パターンの作品
 障害者のかいた文字や絵を、デザイナーがフォント(字体)やパターン(図柄)としてデータ化した「ご当地フォント」の「和歌山フォント」が誕生した。ご当地フォント専用サイトからダウンロードし、利用できる。障害者が収益を生みながら社会とつながる仕組み。手がけた実行委員会は和歌山県の紀南でも広めたいという。


 「ご当地フォント」は、障害者と支援事業所、デザイナーの3者によるプロジェクト。東京都渋谷区で2017年に始まり、現在は全国15都道府県に広まっている。

 「フォント」はデジタル化してインターネット上に掲載しているため、世界中どこでもダウンロードして利用できる。

 利用料は個人利用(販売をしない)の場合、フォントは無料、パターンは500円。商用利用の場合は、サイズや使用用途に応じて利用料を見積もる。

 「ご当地フォント」の発起人で、ソーシャルデザイナーの福島治さんが先月、和歌山市で「和歌山フォントの革新性」をテーマに講演した。

 福島さんは長年手がけてきた商業的なデザインを09年でやめ、社会問題、特に障害のある人の創作に寄り添い、応援する活動に転換した。きっかけは障害者アートとの出合い。「その不思議な力のとりこになった」と振り返る。

 ただし、本当に魅力的なアートが描けるのはごく一部。創作活動が好きな人は多いが、そうしたアートは趣味にはなっても、仕事につながっていなかった。「創作が好きな障害者とデザイナーがチームになることで、趣味が仕事に変わる。これが一番革新的なところ」と強調する。

 収入アップも期待できる。発祥の渋谷区では、区役所庁舎の表示や職員の名刺、タオルやタンブラー、菓子のパッケージ、洋服の裏地など、さまざまな商品に活用されている。大手の民間企業でも次々採用されている。

 福島さんは「ご当地フォントは、いろいろな人をつなぎ、関係人口を増やす。そして、関わる人が一緒に喜べる。仕事と社会貢献が同時に生み出せる仕組み。和歌山フォントがもっと広まれば、もっと地元が好きな人が増える。社会課題もみんなのつながる力で解決し、地元がもっと好きになる」と呼びかけている。