和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

移民ドキュメンタリー

田並劇場に展示されている移民について書かれたパネル(和歌山県串本町田並で)
田並劇場に展示されている移民について書かれたパネル(和歌山県串本町田並で)
 和歌山県串本町田並の田並劇場は13日午後1時半から、戦前に米カリフォルニア州ターミナル島に住んでいた日系人を題材にしたドキュメンタリー映画を上映する。無料。

 ターミナル島はイワシやマグロなどの缶詰生産が盛んで、約3千人の日系人がいた。男性は漁師、女性は魚をさばいて缶詰にする作業に従事し、缶詰工場の裏に立ち並ぶ長屋で暮らした。寺や神社があったり、正月や桃の節句、クリスマスを祝ったりとユニークなコミュニティーが作られていたという。

 しかし、日本のハワイ真珠湾攻撃後からスパイ疑惑をかけられ、島から強制退去を命じられたり、強制収容所に入れられたりした。

 上映する映画は「古里 失われた村、ターミナル島」(デビット・メッツェラー監督、40分)の日本語字幕版。ターミナル島で生まれ育った日系2世をインタビューするなどして2007年に製作した。11年には移民に関する資料を集める太地町歴史資料室と共同で日本語字幕版を作っている。

■パネル展示も 紀南出身者の生活紹介

 田並劇場では映画に関連して6日から「紀南からのアメリカ移民」と題した展示を始めた。7月下旬まで。

 ターミナル島では紀南地方の漁村出身の1世が多く暮らした。展示では缶詰工場でイワシをさばく女性の様子、船いっぱいにイワシを積んで帰港した漁船、缶詰工場と裏にある住宅など、生活を捉えた写真が並んでいる。いずれのパネルも映画の上映に合わせて太地町教育委員会から借りた。

 展示は毎週月、水、土曜の午後1時~5時か、劇場でイベントを開催しているときは自由に見ることができる。

 劇場の林澄蓮代表は「映画の上映や展示を通して、紀南の移民の歴史を知ってもらえたらうれしい。移民について知っていることがあれば持ち寄ってほしい。次の世代につなげる機会にしたい」と呼びかけている。

 問い合わせは田並劇場(0735・70・1046)へ。