和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月22日(金)

南高梅の剪定枝で商品開発 チップやチーズ、和歌山・上富田の梅本さん

梅の剪定枝を活用して商品化した燻製用のチップや燻製チーズ(和歌山県上富田町朝来で)
梅の剪定枝を活用して商品化した燻製用のチップや燻製チーズ(和歌山県上富田町朝来で)
 和歌山県上富田町朝来のカフェ・ゲストハウス経営者、梅本倫弍さん(68)が、特産の南高梅の剪定(せんてい)枝を活用して作った、燻製(くんせい)用のチップや燻製チーズを商品化した。農家は枝の処分に手間がかかっており、地域課題の解決を目指した、香り良い商品となっている。


 梅農家は毎年秋以降、勢いよく伸びる徒長枝を切る剪定をし、枝の多くは粉砕して畑に戻したり、焼却処分したりするなど負担になっている。梅の剪定枝の活用については、県工業技術センター(和歌山市)が研究し、チップには香り成分があり、燻製作りに使えることが分かった。

 センターの研究結果を受け、サクラのチップを使った燻製チーズの製造経験があった梅本さんは、センターや町商工会の協力も得ながら、梅の剪定枝のチップや燻製チーズの商品化に取り組んだ。

 安心や安全に配慮し、梅ならではの香りが出せるよう、研究・開発に3年以上の時間がかかったという。「わかやま中小企業元気ファンド」の助成も受けた。

 材料となる剪定枝は、上富田町や田辺市、みなべ町の農家から提供を受けており、有機栽培と通常栽培の2種類の枝がある。

 10月から伐採して雨ざらしにした後、チップ化したのを買い取っている。それを梅本さんが倉庫で1年間乾かし、残留農薬の検査をした上で、ふるいにかけて燻製用のチップにする。

 そのチップを使い、自家製燻製器で燻製チーズの商品を作っている。梅の繊細な香りが楽しめ、ゲストハウスの宿泊者らに試食してもらってもおいしいと好評だったという。燻製とチップは「梅燻(うめくん)」として商標登録した。 

 インターネットのホームページ(梅燻で検索)から購入することができる。価格(税込み)は、有機栽培の枝を使った商品がチーズ(90グラム)は900円、チップ(500グラム)は1500円、通常の枝を使った商品がチーズは800円、チップは1300円。

 上富田町のふるさと納税の返礼品の一つにしてもらえる予定といい、今後も、梅の剪定枝チップと地元産品を使った燻製の商品作りを考えている。

 梅本さんは「さまざまな方の協力があって商品化できたことに感謝している。自分ができることで、梅の剪定枝の有効活用のお手伝いができ、地域還元につながればうれしい」と話している。

 問い合わせは、上富田町朝来のRカフェ2(0739・20・4865)へ。