和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

三段壁洞窟に新たな風 大学生が企画立案、和歌山・白浜

南紀白浜空港で観光客を出迎えるインターンシップの大学生(和歌山県白浜町で)
南紀白浜空港で観光客を出迎えるインターンシップの大学生(和歌山県白浜町で)
 和歌山県白浜町の観光施設「三段壁洞窟」を日本一の人気スポットにしたい―。インターンシップ(就業体験)の大学生が現状分析から企画立案、体験メニューやグッズ開発、PR活動に取り組んだ。一部サービスはすでに始まっており、50年以上の歴史がある施設に新たな風を吹き込んでいる。


 短期の見学や体験でなく、学生と経営者が協力して企業課題に挑む実践型インターンシップ。田辺市の教育会社「トゥデイ」が手がけている。

 三段壁洞窟では、九州産業大学2年の鯉川晴海さん、早稲田大学2年の村上彩さん、北九州市立大学2年の植田綾さんが2月から2カ月間取り組んだ。

 当初は観光客が減少する冬の対策を考えることが目標だったが、シーズンを問わずにぎわいを生みたいと変更。これまで三段壁洞窟に来なかった人、来ることが少なかった人を大枠のターゲットに、企画ごとに細かく対象を絞り込んだ。

 例えば、ペット同伴可能の施設特性を生かして、洞窟を拠点にしていたとされる熊野水軍をイメージしたペット用のかぶとの貸し出しサービスを開始。早速、ペットと一緒に写真を撮ってSNSに投稿する観光客が増えている。

 スマホケースにステッカーを挟んでアレンジする10~20代が多いことから、地元デザイナーと協力して独自のステッカーを開発。地底36メートルで電波状態が悪いことを逆手に、スマートフォンなどのデジタル機器との距離を置くことでストレスを軽減するデジタルデトックス体験も企画した。

 紀南でインターンシップに参加した大学生による報告会が、3月27日に田辺市内であった。

 植田さんは「企画案は何度も修正を繰り返し、実現までの道のりの大変さを実感した」と振り返り、「同世代や地域の人々との出会いなど、ここに来なければ得られない経験があった。絶対にまた来たい」と笑顔を見せた。

 「三段壁洞窟」の新藤正悟代表は「やりたくても取り組めていなかった部分だけではなく、私たちでは思い付かない発想もあって、来てもらえて本当に良かった」と感謝した。

 報告会では、上富田町の後工務店で防災イベントの開催に携わったフェリス女学院大学1年の三宅志帆さんと千葉大学1年の横谷和希さんの発表もあった。初開催のイベントを職種も世代も多様な地元住民と手探りで構築。体験型の防災ゲームも開発した。

 イベントには4歳から60代まで約500人が参加。2人は「楽しみながら防災の知識を得てもらうことができた。参加者同士や、他地域との交流をもっと深める仕掛けをつくり、災害に備えたい。防災ゲームもよりリアルにしたい」とさらなる改善を提案した。