和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月11日(水)

歌会や獅子舞奉納 和歌山・中辺路で世界遺産20周年イベント

後鳥羽上皇の熊野御幸の際に滝尻王子で詠まれた和歌を紹介する歌会(3月31日、和歌山県田辺市中辺路町で)
後鳥羽上皇の熊野御幸の際に滝尻王子で詠まれた和歌を紹介する歌会(3月31日、和歌山県田辺市中辺路町で)
 和歌山県田辺市中辺路町栗栖川にある世界遺産の熊野古道「滝尻王子」で3月31日、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年を記念したイベント「いにしえの文化祭in滝尻」があった。熊野御幸で行われた歌会の紹介や獅子舞の奉納などがあり、大勢でにぎわった。

 語り部の会熊野古道中辺路の主催。今年7月に迎える20周年を多くの人と一緒に祝いたいと開いた。

 会場では、後鳥羽上皇(1180~1239)による熊野御幸の際、滝尻王子で開かれた歌会で詠まれた和歌を紹介する歌会があった。語り部の会のメンバー4人が平安衣装を着て後鳥羽上皇などに扮(ふん)し「おもひやる かものうはげの いかならむ しもさへわたる やま河の水」などの和歌を披露。古の熊野詣でに思いをはせた。

 県無形民俗文化財に指定されている「野中の獅子舞」の奉納もあり、近野獅子舞団が乱獅子など4演目を披露して会場を盛り上げた。三味線など和楽器の演奏や平安衣装での散策、餅まきなどもあった。

 孫と一緒に来たという赤坂朋子さん(76)=田辺市中万呂=は「獅子舞に頭をかんでもらえたので、今年は良い一年になりそう」と笑顔。近野獅子舞団の井谷充孝団長(47)は「滝尻王子から熊野古道を歩き始める人たちの安全や世界遺産と地域の発展を願って奉納した」と話した。

 イベントの責任者を務めた語り部の会の多屋敦美さん(64)は「大勢に来ていただき、楽しんでもらえて良かった。私も語り部となって今年が20周年。古道を歩くことで元気をもらってきたし、これからもお客さんの喜ぶ顔が見られるよう頑張りたい」と話していた。