和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

県の予算案巡り紛糾 和歌山県議会総務委「大規模事業への支援は明確な基準を」

和歌山県庁(和歌山市)
和歌山県庁(和歌山市)
 和歌山県議会総務委員会は14日、2024年度一般会計当初予算案に計上された、有田市で開催予定のイベントへの負担金や避難所の設備購入費を巡って紛糾。予算案は認めたが、18日開催の予算特別委員会に「詳細に検討されたとは言えず、丁寧な予算編成に努めること。大規模な事業への支援は明確な基準を設けること」との意見を付けた。

 一つは、有田市で今秋、予定されているイベント「エンジン01in和歌山有田」への負担金。文化芸術やスポーツ、経済などさまざまな分野で活躍する著名人らのボランティア団体によるイベントで、有田市が誘致した。

 全体の費用は約8千万円。内訳は、講座開催費などに約2千万円、音楽フェスティバルに約1千万円、講師の交通宿泊費に約2千万円、広報費に約1800万円など。このうち県は2500万円を負担するとしている。

 この根拠について県側は、年に1回、全国の地方都市で開かれているが、これまでの開催県と同じように実行委員会に参加し、負担金を支出することにしたと説明。「県民にできるだけ参加してもらうよう働きかける」とした。

 これに対し、議員からは「(財政危機で)大事な事業をカットしているのに、なぜ県が地方のイベントに支出するのか」「他の府県でやったらやるのか」「他の市町村からもイベントへの支援要望があれば、財政危機を理由にせず、皆に予算を付けるのか」など、市町村の催しに県が支出することの正当性や支援の公平性などについて厳しい質問が相次いだ。

 総務委員会では昨年9月にも、今年2月に和歌山市で開催されたファッションショー「東京ガールズコレクション」への負担金2500万円の予算案を巡って紛糾したばかりだ。

 さらに、災害時の避難所環境改善を目指し「トイレトレーラー」やキッチンの機能を設けた「防災コンテナ」の購入費、輸送費、職員の運転免許取得費などに4千万円を計上していることにも議員から指摘が相次いだ。

 全国の自治体で導入されているトイレトレーラーは20台で、都道府県では1県。防災コンテナの導入は初になるとみられるといい「県が購入する必要性は何か」「県内に指定避難所が1600カ所ある中、実用的にどうか。マンホールトイレを多く準備する方がいいのではないか」「普段はどう利用するのか」といった質問があった。また、事業が市町村への導入促進も目的としていることについても「県が購入するより市町村への補助などを議論した方がいいのではないか」「市町村の考えを先に聞くべきではないか」「県が市町村に営業する形にならないか」などの指摘があった。

 予算特別委員会では、総務委の意見を踏まえて審議する。