和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

高校生が1年間、社会を経験 南部高「デュアルシステム」で成長実感、和歌山

地元の事業所などでの実習の成果を発表する生徒(7日、和歌山県みなべ町芝で)
地元の事業所などでの実習の成果を発表する生徒(7日、和歌山県みなべ町芝で)
 和歌山県みなべ町芝の南部高校普通科で本年度から導入された「南高版デュアルシステム」の成果発表会がこのほど、同校の体育館であった。選択した2年生が、1年間の実習を振り返り、コミュニケーション能力や積極性が高まったなどと学んだことを発表した。1年生と2年生、教職員、県内の学校関係者ら計約180人が聞いた。


 南高版デュアルシステムは、座学と地元企業などでの実習により地域に貢献できる人材育成を目指す取り組みで、初年度は7人が選択した。実習は5月中旬から1カ月に2、3回のペースで続け、1年間に18回実施した。実習先はみなべ町や田辺市内のこども園、飲食店、ホテル、菓子店、美容室。

 発表会では、体調不良で休んだ1人を除く6人が順番に舞台に立った。いずれも実習内容をはじめ、実習によって得たことなどについて、1人7分ほどで発表した。

 こども園で実習した朝日大雅さんは「積極的に動き、チャレンジすることができるようになった」と自分の変化を紹介し、「失敗することを怖がらず、チャレンジして失敗する方が得るものがあるということを学んだ」と語った。同様に保育を体験した畑中友萌さんは「最初は不安だったが、心から楽しむことができた。子どもの言動から新しい気づきをもらい、自分の成長につながった」と振り返った。

 飲食店で実習した宇津木希さんは「コミュニケーション能力が向上し、職業についての知識が得られ、自分の成長につながった」と実習の成果を語った。越智悠月さんも飲食店で体験し「自信を持つようになり、それにより商品の完成度が上がり、コミュニケーション力が上がった」と述べた。

 菓子店で実習した山本真桜さんは「菓子に関わる仕事に就きたいと思っており、今回の実習が将来について考えるきっかけになった」、美容室で実習した樫山日香さんは「環境に慣れることが大事で、そのためには自分と周りの状態を確認しながら適度に肩の力を抜くことが必要だということを学んだ」と語った。

 ホテルで実習した古川咲季さんは欠席したが、「コミュニケーション力とコツコツと仕事をする力が身についた」とリポートにまとめている。

 発表終了後、武田俊幸教頭は「実習を経験した生徒は、いろいろな人の後押しもあって一歩踏み出した。たったの1年だが、ずいぶんと成長した。このような新しい挑戦を南部の伝統として続けていければと思う」と語った。

 生徒を受け入れた田辺市南新町の飲食店経営者、芝三千哉さん(54)は「生徒は目的を持ち、1年を通して実習したことでかなり成長したかと思う。受け入れた私たちも勉強になった」と話していた。