和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

「梅がコロナ抑制」で特許取得 和歌山・みなべ町

図 梅干しが新型コロナ感染抑制
図 梅干しが新型コロナ感染抑制
 梅が新型コロナウイルスの感染や増殖を制御するという、和歌山県みなべ町と研究グループとの研究成果に対する特許が、特許庁に認められた。同町などが「抗コロナウイルス剤」として出願した特許で、同町の梅に関係する特許取得は四つ目。町は「梅の機能性をこれまで以上にアピールし、消費拡大につなげていきたい」としている。


 東海大学(東京都渋谷区)の竹腰進教授と山本典生教授、河崎学園(大阪府貝塚市)の宇都宮洋才教授らの研究グループが2020年10月~22年3月に培養細胞を使った研究で抑制効果を確認し、22年3月に同町と東海大学、河崎学園が特許庁に出願していた。研究では、培養細胞に新型コロナウイルスを感染させると増殖して細胞が死滅したが、梅干しの抽出物を一緒に投与すると感染が抑制された。さらに梅干しの抽出物の濃度が濃いほど、増殖を抑制することが分かったという。

 特許の取得は、昨年11月に「特許公報」で発表された。

 町は、梅の健康機能性効果について調査研究を続けており、これまで三つの効用について科学的な裏付けを取り、特許を取得している。そのうち一つは特許期限が切れたが、「血糖値の上昇や肥満などに関連づけられる酵素の働きを阻害する物質が含まれている(α―グルコシダーゼ阻害剤)」と「肌の張りや潤いを保つコラーゲンの分解を抑える物質が含まれている(コラゲナーゼ阻害剤)」の二つは継続している。

 特許は紀州みなべの南高梅の需要拡大が目的で、町は条例で町内の梅加工販売業者や梅生産農家、町長が認めた人が使用できると定めている。町うめ課は「コロナ禍は今、ある程度は収まっているが、今後、新たに出てくれば、役立てていきたい。アピールをこれまで以上にしていきたい」と話している。

 町は5日に開会した町議会3月定例会で、「みなべ町梅の効能に係る特許表示使用に関する条例」に「抗コロナウイルス剤」について加える条例改正案を提案した。

■「政策推進課」新設

 みなべ町は、24年度に「政策推進課」を新たに設置する。企画や長期総合計画、総合戦略などの業務を担う。課設置条例の改正案を町議会3月定例会に提案した。

 同町では少子化対策や地域の活性化が重要な課題となっており、町議会一般質問でも空き家対策やふるさと納税の増大を含め、地域の活性化を求める意見が出て、小谷芳正町長は専門部署の必要性を示していた。政策推進課の人員は6人程度の予定。

 町は「子育て推進課」の新設も決めている。

■当初予算案など提案

 みなべ町議会の3月定例会は5日に開会した。町は24年度の一般会計当初予算案や23年度の一般会計補正予算案、町梅の効能に係る特許表示使用に関する条例の改正案、町課設置条例の改正案など議案37件のほか、人権擁護委員候補者の推薦を提案した。

 24年度の一般会計当初予算案は88億200万円。23年度の一般会計補正予算案は、876万円を追加するもので、一般会計の総額は94億894万円になる。



 3月定例会は22日までで、一般質問は12日から、議案審議は14日からの予定。