和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月16日(土)

熊野15一絵(11)田辺市中辺路町/高原の幻想

街明かりが雲海を照らし、幻想的な風景をつくり出した(10月30日午前4時10分までに撮影した露出時間25秒の25カットを合成、田辺市中辺路町高原で)
街明かりが雲海を照らし、幻想的な風景をつくり出した(10月30日午前4時10分までに撮影した露出時間25秒の25カットを合成、田辺市中辺路町高原で)
熊野15一絵☆田辺市中辺路町撮影ポイント地図
熊野15一絵☆田辺市中辺路町撮影ポイント地図
 「霧の里」は夜も幻想的な姿を見せる。撮影の夜も、未明に発生した雲海が眼下の街明かりに照らされ、星空の下で美しくたなびく光景を撮ることができた。

 雲海の名所として知られる高原は標高300メートルを超える高台にある。約40世帯、人口約70人の小さな集落だ。

 中世から近世にかけて熊野古道を旅する人たちの宿場として栄え、今も熊野を旅する人たちの重要な宿場である。中辺路町観光協会によると現在四つの宿泊施設があり、今後も増える予定という。

 古道沿いにある高原熊野神社の社殿は室町時代に建てられたとされ、紀南地方では最古級だ。鎮守の森にはクスノキの巨木が何本もそびえ、世界的な博物学者・南方熊楠(1867~1941)が保護に心を砕いた場所であることから「南方曼陀羅(まんだら)の風景地」の一つとして国の名勝に指定されている。

 朝日に照らされた雲海と棚田が共演する景色がよく知られており、多くの写真愛好者を魅了し続ける。中辺路屈指の撮影スポットである。 (牧康宏)
=随時掲載