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2024年11月21日(木)

家族の高齢者虐待が最多更新 老老介護で負担増え、和歌山県で22年度

家族ら養護者による高齢者虐待状況
家族ら養護者による高齢者虐待状況
 和歌山県は、2022年度中に県内で確認された家族ら養護者による高齢者虐待件数は187件、虐待を受けた高齢者は196人、市町村への相談・通報件数は359件だったと発表した。いずれも3年連続で最多を更新。高齢者虐待への理解が深まって相談・通報件数が増えたことや、老老介護が進んで介護負担が増えたことが要因ではないかとみている。

 調査を開始した06年度は相談・通報件数98件のうち68件が虐待と判断され、被虐待者数は71人だったが、10年ほど前からいずれも増加傾向になった。20年度には相談・通報件数307件、うち虐待と判断されたのは176件、被虐待者数177人で、いずれも過去最多になり、以降も増えている。

 22年度の被虐待者の内訳をみると、4段階の虐待深刻度では、生命の危険や心身への重篤な影響、生活の危機的状況があり最重度に分類される「4」と、重大な健康被害や生活の継続に重大な支障が生じていると分類される「3」がそれぞれ29人ずつ。最も多かったのは、深刻度が中度で、権利侵害行為が繰り返され心身に被害があったり生活面で支障が生じたりしている「2」の51人。軽度の被害や影響が生じている「1」は34人だった。このほか53人は深刻度が未決定。

 虐待の種別(重複あり)は殴る蹴るといった「身体的」が125人、無視や暴言などの「心理的」が76人、高齢者の金銭を使い込む、必要なお金を与えないなどの経済的が29人、「介護等放棄」が23人で、「性的」はなかった。被虐待者の性別は女性が144人と7割以上を占め、男性は52人だった。

 相談・通報を受けた市町村の対応は、緊急一時保護や病院への一時入院など虐待者と分離した被虐待者数が44人、分離せず養護者に指導したり経過観察したりしているのが96人、虐待を判断した時点ですでに、入院や入所など分離していたのが55人などだった。

 一方、虐待者は息子が75人、夫が58人と男性に多い傾向があり、娘22人、妻13人、息子の配偶者5人、兄弟姉妹5人などと続いた。

 虐待者の年代は70代が最多の42人、80代が33人で、子ども世代(50代40人、40代33人)より多い。県は、老老介護による負担の増大が、虐待件数増に影響しているとみており、市町村職員に対し、県作成の虐待対応のマニュアルを周知したり、研修をしたりしていくという。

 また、有料老人ホームや特別養護老人ホームなど養介護施設でも7件7人の高齢者虐待が確認された。相談通報件数は32件あった。

 虐待者は介護職が4人と最も多かったが、施設長が虐待したケースもあった。