和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月24日(日)

くら寿司と和歌山県がタッグ 県産メニュー販売や養殖技術の開発、食育で連携協定

包括連携協定書に署名する岸本周平知事(手前)とくら寿司の田中邦彦社長=5日、和歌山県庁で
包括連携協定書に署名する岸本周平知事(手前)とくら寿司の田中邦彦社長=5日、和歌山県庁で
 和歌山県は5日、回転ずしチェーン大手の「くら寿司」(本部・堺市)と包括連携協定を結んだ。同社が自治体と包括連携協定を締結するのは初めて。両者が協力して漁業振興に取り組むほか、同社が県産品を使用した商品を店舗で販売したり、食育に力を入れたりしていく。

 同社は2021年に水産専門の子会社「KURAおさかなファーム」を設立。国内初の国際的基準を満たしたオーガニックフィッシュ(有機水産養殖・加工)である「オーガニックはまち」を由良町で生産しており、漁場を拡大させている。県がこの事業に協力してきたことや、県産品の販売促進のために同社と協議を進めてきたのをきっかけに、協定を結ぶことになった。

 連携内容は水産業就業機会の創出や水産資源の保全、県産品のPR、魚食普及や食育など。具体的には今後協議していくが、同社によると全国約540店ある店舗数を生かし、県産の魚や農産物などを商品を通じて広めたり、すでに県内でも取り組んでいる小学校への食育や環境保全の出前授業をさらに推進したりしたいという。

 一方県も、黒潮が蛇行して漁場が遠くなったり、水温が高くなって漁獲資源が北上していたりといった県内漁業の問題に対し、連携して取り組みたいとしている。

 この日、田中邦彦社長らが県庁を訪れ、岸本周平知事と協定書に署名した。岸本知事は「取るだけではなく、育てる漁業もますます力を入れたい」と協定を歓迎。田中社長は毎週、多いときは週に5日、和歌山市加太を訪れて釣りをし、釣った魚を販売していることなどを伝え、和歌山への愛着を示した。