熊野15一絵(6)那智勝浦町/上人慕う無数のリンドウ
妙法山(標高749メートル)の山腹にある那智勝浦町南平野の阿弥陀寺で、アサマリンドウ(リンドウ科)の群生が見頃を迎えた。
日本の特産種で、青紫色をした長さ4~5センチの清楚(せいそ)な花を上向きに咲かせる。三重県の朝熊山で最初に発見されたことが名前の由来という。
阿弥陀寺は熊野古道中辺路の「かけぬけ道」の途中にあり、「よみの国への入り口」として古来、信仰を集めた。「亡者の熊野詣で」と伝えられ、人が亡くなると幽魂は必ず妙法山に参り、山門のそばにある「ひとつ鐘」という釣り鐘を突いてからあの世に旅立って行くといわれてきた。
アサマリンドウはその寺の一画、石の炉がある「火生三昧(かしょうざんまい)跡」の周囲に群生する。そこは平安時代の法華経の行者・応照上人が、読経しながら自らの体を焼いて仏にささげたといわれる場所である。
その上人を慕うかのように、毎年この時季になると、無数の花がこけむした地面を彩る。(牧康宏)
=随時掲載
日本の特産種で、青紫色をした長さ4~5センチの清楚(せいそ)な花を上向きに咲かせる。三重県の朝熊山で最初に発見されたことが名前の由来という。
阿弥陀寺は熊野古道中辺路の「かけぬけ道」の途中にあり、「よみの国への入り口」として古来、信仰を集めた。「亡者の熊野詣で」と伝えられ、人が亡くなると幽魂は必ず妙法山に参り、山門のそばにある「ひとつ鐘」という釣り鐘を突いてからあの世に旅立って行くといわれてきた。
アサマリンドウはその寺の一画、石の炉がある「火生三昧(かしょうざんまい)跡」の周囲に群生する。そこは平安時代の法華経の行者・応照上人が、読経しながら自らの体を焼いて仏にささげたといわれる場所である。
その上人を慕うかのように、毎年この時季になると、無数の花がこけむした地面を彩る。(牧康宏)
=随時掲載