和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

奴行列、ふとん太鼓で新元号祝う 鹿島神社で例大祭

宮入りする芝崎のふとん太鼓(20日、和歌山県みなべ町芝で)
宮入りする芝崎のふとん太鼓(20日、和歌山県みなべ町芝で)
 和歌山県みなべ町埴田、鹿島神社(亀井隆行宮司)の例大祭が20日に執り行われた。令和元年を祝い、3年に1度の「南道の奴行列」が1年前倒しで、「芝崎のふとん太鼓」は2年ぶりに参加して祭りを盛り上げた。


 午前中に神前式と王子神社での神事があり、午後から片町公園に設けられた御旅所で渡御式が営まれた。みこの「豊栄の舞」は、東京医療保健大学2年の中川七海さん(19)、神島高校3年の尾﨑美友さん(18)、南部高校3年の籠畑茉耶さん(18)が舞った。

 神社に向けての渡御は、先頭が笠(かさ)印として北道ののぼり、続いて潮くみおけ、神楽太鼓やお幣などを持つはかま姿の氏子が参列。埴田の氏子31人がみこしを担いで練り歩いた。御旅所では獅子舞の奉納や子どもみこしも出た。みこしの宮入りを無事に終えた埴田の萩野幸一区長(60)は「いつまでもにぎやかなお祭りであってほしい」と話した。

 のぼりは北道が笠印として先頭に立つことが慣例で2番目以降は抽選。今年は南道、芝崎、東吉田、新町、片町、千鹿浦、栄町、埴田の順だった。

 町指定文化財の南道奴行列は保存会(坂本順一会長)によると、紀伊田辺城主に任ぜられた安藤帯刀(直次)が、みなべで行列を整えて入城した時の様子を模しており、祭礼の渡御に参加するようになって300年以上の伝統があるという。奴頭を先頭にやりや刀などの武具や用具を持った氏子が、隊列を組んで往時をしのばせた。坂本会長(65)は「区民の皆さんのおかげで参加することができた」と話した。

 芝崎の青年団(小山綾人団長)が中心の「ふとん太鼓」は、乗り子の小学生が太鼓をたたき、前乗りの大人が拍子木を打ち鳴らし、約70人が威勢の良い掛け声とともに担いで練った。

 頂にふとんを積み重ねた形状で重さが約2トンあり、担ぎ手が気持ちを一つに合わせて持ち上げた。練る様は迫力があり、多くのアマチュアカメラマンが撮影した。誘導した小山団長(31)は「皆さん頑張ってくれた」と汗びっしょり。宮入り後は仲間から胴上げされた。

 葛城知則総代長(80)は「好天に恵まれてよかった。令和元年の記念の年で例年以上に祭りが盛り上がった」と語った。