和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月27日(金)

マイナ保険証、6割でトラブル 和歌山県内の医療機関、保険医協会が調査

 和歌山県内の医師や歯科医師が加入する「県保険医協会」が、マイナンバーカードに保険証機能を備えた「マイナ保険証」について、県内の医療機関にアンケートしたところ、約6割がトラブルがあったと回答したことが分かった。保険に関する情報が正しく反映されていなかったりシステムに不具合があったりしたためで、事務負担が増えたという医療機関も多かった。


 政府は来年秋に現在の保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化する方針を出している。しかし、システムを導入している医療機関でトラブルが相次いでいることから、中央組織である全国保険医団体連合会の呼びかけに応じアンケートした。実態調査は全国的に実施されている。

 県保険医協会は5月25日に医療機関にファクスでアンケートを依頼。期限の6月8日までに103機関から回答があった。

 このうち、システムを導入している96機関にトラブルの有無を聞いたところ、59・4%の57機関が「あった」と回答した。内容で最も多かったのは読み取り機やパソコンの不具合で、34機関が該当した。また、29機関では「無効」や「該当資格なし」と表示されるなど保険に関する情報が正しく反映されていなかったケースがあった。住所が異なっている、フリガナが間違っているというケースなどもあった。

 このほか、11機関がICチップの破損などマイナ保険証の不具合があったとした。全国で問題になっている「他人の情報にひも付けられていた」というケースはなかった。

 これらトラブルへの対応について34機関が、患者が持っていた保険証で資格確認したと回答。システムのメーカーに相談したのが19機関、前回来院時の情報を基に対応したのが16機関だった。

■事務負担増の声も

 トラブルのため、全額の立て替え払いを請求した医療機関も5医療機関あった。4月以降に3~4件あったという医療機関もあった。

 自由意見の記載欄では「読み取り機の扱いができない患者さんが大部分」「マイナ保険証を診察券箱に入れる人もいる」など患者が不慣れなため、付きっきりになって手間と時間がかかるといった意見が多かった。また「機械の操作が煩雑過ぎる」「何度もエラーが出て他の業務に支障を来した」などシステムの不具合などを挙げる医療機関も多かった。さらに「インフラ整備をしないで導入しているので極めてお粗末な制度」「いろいろ問題点が多過ぎる」など制度そのものを批判する声もあった。

 県保険医協会の大野美穂事務局長は「制度をこのまま強引に進めていくとトラブルはさらに増えるだろう。トラブル対処だけでなく、不慣れな患者さんに対応する必要もあるため、現場の負担が増えていると聞く。引き続き、紙の保険証の存続を求めていきたい」と話している。