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2024年12月23日(月)

進め!けものみち探検隊 9月3日まで、和歌山県立自然博物館が特別展

飼育展示予定のヤチネズミ(和歌山県立自然博物館提供)
飼育展示予定のヤチネズミ(和歌山県立自然博物館提供)
 和歌山県海南市船尾の県立自然博物館は15日から、同館レクチャールームで特別展「進め!けものみち探検隊」を開く。同館では初めての「陸上の哺乳類」をテーマとした展示会。県内には、どのような哺乳類が生息しているのかを紹介し、哺乳類を見つける楽しさや調べる面白さ、その生態を記録する大切さを伝える。9月3日まで。


 展示点数は約100点。同館初の野ネズミ3種類の飼育展示をはじめ、哺乳類(ツキノワグマやカモシカ、タヌキなど)の剝製14点、骨格標本約20点、痕跡標本(足跡やふん、食痕、巣、樹洞など)約50点、模型(滑空するモモンガや飛ぶキクガシラコウモリ、ツキノワグマの頭骨など)約10点を紹介する。

 今回の特別展では、来館者に探検するような気持ちで展示室を巡ってもらおうと、コウモリの暮らしを学ぶ「探検コーナー」を設けて「洞窟探検装置」を設置。絶滅危惧種が多いコウモリ類について興味を持ってもらう。この装置の制作や生体模型(コウモリ、モモンガなど)の塗装は、りら創造芸術高校(紀美野町)との共同制作。

 頭骨模型(ツキノワグマ、ニホンザル)やシカの角付きヘルメット、毛皮などを触って学ぶ体験コーナーもある。頭骨は哺乳類の特徴を知る上で大切な標本。実際に頭骨に触れてみれば、歯の形や神経が通る穴、つるつるとした構造やとがった構造などをじっくりと観察できるが、自由に触れるようにすると破損してしまう恐れがあるため、実物は展示できなかった。

 そこで、複製の仏像「お身代わり仏像」で実績のある和歌山工業高校産業デザイン科(和歌山市)に依頼し、複雑な形の頭骨を精密に再現した模型を共同製作した。完成した模型は特別展終了後も、同館が開く出前教室や移動博物館などで活用する予定。

 展示する剝製14点は新たに収蔵したもので、同館によると「威嚇ポーズのカモシカは迫力満点」という。人体骨格の縮小模型と哺乳類の骨格標本を並べて展示し、その形の違いも知ってもらう。

 第2展示室では、和歌山大学教育学部から寄託を受けて保管しているニホンオオカミの貴重な剝製を展示する。

 担当の佐々木歩学芸員(32)は「野生の哺乳類のファンを増やしたい。痕跡などを通じて哺乳類を発見する楽しさを知って『探検隊』の一員になってもらえれば」と来場を呼びかけている。

 開館時間は午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館(月曜が祝日の場合は次の平日)。入館料は大人480円、高校生以下と65歳以上は無料。