和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

高校生にできること 地域学ぶ神島塾

農業の魅力をいかに伝えるかで意見を出し合う「神島塾」の受講生(19日、和歌山県田辺市文里2丁目の神島高校で)
農業の魅力をいかに伝えるかで意見を出し合う「神島塾」の受講生(19日、和歌山県田辺市文里2丁目の神島高校で)
 神島高校(和歌山県田辺市文里2丁目)で地域を学ぶ集中講座「神島塾」の第2期が19日、開講した。8月まで全6回の講座を通じ、受講生が関心を持った地域課題を解決するビジネス案を考える。


 神島塾は、学年や学科を超えて参加できる課外活動。第2期は1~3年生30人が受講している。地域の若手起業家らから、仕事のやりがいや課題について講義を聞き、課題解決のために高校生としてどんなことができるかを一緒に考える。

 第1回の講師は、田辺市上芳養の農業会社「日向屋」の岡本和宜さん(44)と田中和広さん(34)。岡本さんは農作業を効率化したり、加工品を製造したりして、休日を増やし、経営を安定化するなど、「大嫌いだった農業を改善し、多くの新規参入を迎えている」と紹介した。地域おこし協力隊でもある田中さんは、移住者の視点から地元を知る大切さを伝えた。

 講義後は4つのグループに分かれ、「農業を魅力化する」「田辺で暮らすか、都会で暮らすか」をテーマに話し合った。

 農業について、生徒からは「収穫体験などにゲーム性を持たせて、楽しさを伝える」「(農業と他の仕事を組み合わせた)半農半Xができる環境をつくる。共有農地を設ければ、交流しながら農業に挑戦できる」などの意見が出た。

 3年生の藤田実さんは「きつい仕事という農業のイメージが変わった。これからもいろいろな講師に出会い、進学後、どんな仕事に就くか考えるきっかけをつかみたい」、同じく3年生の神谷茉莉花さんは「地元の祭りが好きで、まちを盛り上げるためにできることはないかと参加した。めちゃくちゃ面白く、プランを考えるのが楽しみ」と笑顔を見せた。

 5回目までは放課後に約2時間のプログラムに取り組む。夏休みにある最終の第6回は白浜町で1泊2日の合宿をして、ビジネスプランを発表する。

 担当の那須正樹教諭は「講座を通じ、地域の見方が変わるだけでなく、自分自身にも変革があると思う」と生徒の成長に期待を込めた。