和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月21日(木)

和歌山県で半世紀ぶりに発見 巻き貝ビカリアの化石、白浜で

綛村さんが発見したビカリア(左)とセンニンガイ(右)の化石
綛村さんが発見したビカリア(左)とセンニンガイ(右)の化石
 和歌山県田辺市新万、学習塾経営の綛村(かせむら)壮次郎さん(53)は、約1600万年前の湿地に存在していたとみられる絶滅属の巻き貝「ビカリア」の化石を白浜町の海岸で見つけた。県立自然博物館(海南市)によると、県内で見つかるのは約50年ぶりで2度目。紀伊半島の地層を知る上で貴重という。

 綛村さんは田辺ジオパーク研究会に所属しており、南紀熊野ジオパークのガイドでもある。昨秋、化石や地層を調べるために散策していた際に発見した。

 「(ビカリアは)殻がもろいので採取は難しいが、周囲にあった岩が雨で削られ、表面に露出していた」と振り返る。化石は2点で、いずれも全長約5センチ。

 ビカリアは、海水と淡水が混ざる温暖な水域に生息していたと考えられている。ビカリアの化石は「示準化石」で、化石を含む地層の堆積した時代が推定できる。約1600万年前の新生代のものという。

 綛村さんは、同じ場所で別の巻き貝「センニンガイ」の化石1点(全長約7センチ)も見つけた。別種が現生しており、海外のマングローブ湿地に生息する。県立自然博物館によると、県内での発見は約10年ぶりとなる。

 今回の発見について、綛村さんは「周辺の環境からなんらかの化石があるのではと思っていた。地域の人にも和歌山にあふれる地質資源の価値に気付いてほしい」と話した。

 見つけた化石は田辺ジオパーク研究会のイベントなどで展示する予定という。