和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

飲酒運転根絶へ 条例強化取り締まりも

田辺署や県警交通指導課が実施した飲酒検問(田辺市湊で)
田辺署や県警交通指導課が実施した飲酒検問(田辺市湊で)
 県の飲酒運転根絶条例の罰則規定が1日から、施行された。アルコール依存症の受診を求めたり、酒類を提供した飲食店にも店名の公表や過料といった措置を講じたりする。危険な飲酒運転の撲滅に向けて、県警も引き続き取り締まりを強化している。

 条例は4月から施行し、県民に飲酒運転を通報する努力義務、飲食店や駐車場所有者らに飲酒運転を防止することなどを求めている。10月からは罰則規定が施行され、検挙された人に依存症の診断を受けることを求める。5年以内に再度検挙されれば義務となり、怠れば5万円以下の過料を科す。

 運転者だけではなく、店側にも防止義務が発生し、違反者に酒類を提供した飲食店には、公安委員会が啓発ポスターの掲示など飲酒運転防止措置を指示。従わないと店名の公表などをし、過料を科す場合もある。

 一方、4月に条例が施行されてからも依然として飲酒運転の検挙や交通事故は相次いでいる。管内に県内有数の飲食街「味光路」がある田辺署では、条例の罰則規定が施行されてからも、引き続き警戒を強めている。

 同署交通課の大江澄享課長(40)によると、飲酒運転は毎年一定の検挙者がおり、事故の件数も横ばい状態。飲食店で酒を飲んでいた以外にも、自宅で飲酒した後に車を運転していたケースもあったという。

 同署では管内の各地で検問やパトロールなどをして警戒を強化。施行前日の9月30日にも、県警交通指導課とともに田辺市内で検問を実施した。

 大江課長は「条例では、運転者だけでなく、飲食店の取り組みについても明記されている。住民からの通報で検挙につながった事例もあり、撲滅に向けて飲酒運転を許さない機運を高められたら」と話した。

 県警によると、県内の飲酒運転による人身事故は、14年の40件からほぼ横ばいとなっている。18年は33件で、今年も8月末までに15件発生している。