和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

ミツバチの巣箱貸し出し 梅の受粉促し豊作期待

農家に貸し出すためセイヨウミツバチの巣箱を車の荷台に積む養蜂業者(1日、和歌山県みなべ町山内で)
農家に貸し出すためセイヨウミツバチの巣箱を車の荷台に積む養蜂業者(1日、和歌山県みなべ町山内で)
巣箱を出入りするセイヨウミツバチ(1日、和歌山県みなべ町西岩代で)
巣箱を出入りするセイヨウミツバチ(1日、和歌山県みなべ町西岩代で)
 梅の本格的な開花を前に、和歌山県みなべ町などの養蜂8業者でつくる「花粉交配組合」は1日から、町内でセイヨウミツバチの巣箱の貸し出しを始めた。果実が多く実るよう、ミツバチに受粉を助けてもらうのが目的で、場所を替えて4日まで続ける。

 町内で誕生した人気の品種「南高梅」は自家受粉できないことから、ミツバチなど昆虫の助けが必要だが、より多く受粉できるようにと農家が毎年、セイヨウミツバチの巣箱を借りて、梅畑に置いている。

 組合による貸し出しは、JA紀州みなべいなみ梅部会の仲介でしている。清川地域では独自に確保しているため、残りの地域の農家が借りている。今年は例年より多い全体の約35%に当たる415軒が申し込んでおり、計1517箱になるという。

 巣箱は4日かけて、岩代、南部、上南部、高城の各地域に分けて貸し出す。初日の岩代地域には山内地区も加わり、山内にあるJA紀州浜の岡集荷場で受け付けた。農家らは軽トラックで訪れ、荷台に積み込んだ。業者によると、借りる巣箱の数は畑の広さによって違い、2~4箱が多いが、18箱という農家もいたという。

 各農家は巣箱を持ち帰り、梅畑に置いた。入り口側を南側に向けるなどして寒さの影響を受けにくいようにした。セイヨウミツバチは気温が10度を超えれば活動が活発になるといわれており、初日には昼間、巣箱を出入りするハチの姿が見られた。巣箱は花が散るまで畑に置いておく。

 今季の梅の開花は、平年より遅く中旬と予想されており、農家は開花の時季に気温が上がってミツバチが飛び交うことを期待している。みなべ町西岩代の60代男性は「梅干しの需要が減っていることが気になるが、今季もたくさん実がなればと思う。ハチに頑張ってもらいたい」と話していた。