和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

串本と那智でワーケーション 和歌山県が新プラン作り

グランピング施設の中でテレワークをする参加者(10日、和歌山県串本町樫野で)
グランピング施設の中でテレワークをする参加者(10日、和歌山県串本町樫野で)
 和歌山県は10日、普段の職場と異なるリゾート地や観光地で余暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」推進の取り組みで、東京の企業を招いた2泊3日のプログラムを和歌山県の串本町と那智勝浦町を拠点に始めた。串本町田原にできた民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」(串本町田原)から打ち上げられるロケットも見据えた事業。参加者の意見を参考にしながら、新しいモデルプラン作りを目指す。

 県情報政策課によると、県内でのワーケーションはこれまで、南紀白浜空港があることなどから白浜町や田辺市での誘致に力を入れてきたが「モデルプランの幅を広げたい」と、今回、串本町と那智勝浦町を拠点としたプログラムを計画。以前からワーケーションに関心を持っていたシンクタンク「SOMPOインスティチュート・プラス」(東京都)から社員10人が参加した。

 参加者は初日、串本町樫野にあるキャンプ場「リゾート大島」を訪れた。グランピング施設などを見学し、地域住民とのワークショップとして、このキャンプ場を運営する「OUTDOOR TRIP(アウトドア トリップ)」の南畑義明代表取締役らと、地域の観光資源や課題などについて意見交換をしたり交流を深めたりした後、施設内でテレワーク。「SOMPO―」社の宮本万理子副主任研究員は「コロナ禍や働き方改革でテレワークを実施しており、その延長でワーケーションの実証実験をしようと企画していたところ、今回、県の協力で訪れることができた。ワーケーションを通じて新しい発想が生まれたり協力意識が芽生えたりなど、どういう効果があったのかを検証したい。和歌山は初めてだが、自然が豊かという印象で、世界遺産があってロケットが打ち上がるというのも魅力的」と話した。

 参加者は11日に那智勝浦町、12日には古座川町などを訪れる予定という。

 県情報政策課の杉本吉美課長は「知名度が上がってきて多くのお客さまが来てくれるようになってきているが、白浜が中心になっているので、拠点や受け入れ先を増やしていろんなニーズに応えたい。串本町と那智勝浦町にはロケットという新しい魅力もあり、新たなモデルプランを作って企業に提案していければ」と話していた。

 同課によると、県が把握しているワーケーションでの来県者数は、5年前(2017年度)は24社240人だったが、22年度は昨年12月15日までで、38社347人という。