和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

弁慶映画祭にエール 俳優の磯村さん、監督の大友さん

田辺市のゆるキャラ「たなべぇ」と並んで記念撮影に応じる磯村勇斗さん(中央)と大友啓史監督=和歌山県田辺市新屋敷町で
田辺市のゆるキャラ「たなべぇ」と並んで記念撮影に応じる磯村勇斗さん(中央)と大友啓史監督=和歌山県田辺市新屋敷町で
 16回目を迎えた和歌山県田辺市の「田辺・弁慶映画祭」。3年ぶりに現地開催された今年は、特別審査員として若手人気俳優の磯村勇斗さん、「るろうに剣心」シリーズなどで知られる映画監督の大友啓史さんも参加。市民が手作りで育ててきた映画祭に「これからも続けていってほしい」とエールを送った。


 磯村さんは2017年にNHK連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロインの夫役を好演。話題の映画にも次々と出演し、22年の「第45回日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞するなど、注目されている。

 大友さんはNHKで大河ドラマ「龍馬伝」などを手がけた後に退局。主な作品に「るろうに剣心」5部作、「3月のライオン」などがある。

 映画祭期間中、2人がそろって取材に応じた。

 田辺のまちの印象について磯村さんは「僕の出身地である静岡県沼津市と同じ港町。地元を思い出して懐かしい」、大友さんは「海がそばにあって、気候が良くて、食べ物もおいしい。映画祭をやるのにいいまちだと思う」と話した。

 映画祭では磯村さんが出演した映画「PLAN 75」が招待作品として上映され、舞台あいさつにも立ったことから、会場の外では整理券を求める長蛇の列ができた。磯村さんは「それだけたくさんの方が映画を愛し、楽しんでくれているというのは今後の活力になる」と笑顔を見せた。

 大友さんは、コロナ禍で映画館が休館に追い込まれた時期があったことに触れ「大スクリーンを前に多くのお客さんと暗闇の中で息を潜め、感動を共にするという経験は最強だと思う。その魅力を地元の皆さんにも感じてほしい」と語った。

 当初は応募数が少なかった弁慶映画祭も、回を重ねたいまでは若手の登竜門として知られる存在になっている。映画祭出身で、商業映画で活躍している沖田修一監督の最新作「さかなのこ」には、磯村さんも出演している。

 磯村さんは「若手監督にとって、ここで絶対に賞を取りたいという憧れのステージのような映画祭になっていると思う。これからも変わらず継続してほしい」。大友さんも「継続していくことが力になる」と期待を寄せた。


■高校生スタッフもお手伝い

 今年の弁慶映画祭では、地元の神島高校の生徒4人がスタッフとして運営を手伝った。

 若い世代にもっと映画祭を知ってもらうきっかけにしようと、実行委員会が協力を依頼。訪れた観客にパンフレットを手渡したり、チケットのもぎりをしたりと裏方業務に携わった。

 3年生の木村日和さん(18)は「裏方の大変さがよく分かった。地元の人たちがこの映画祭をずっと続けてきたのはすごいと思う」。同じく3年生の松尾明歩さん(17)も「知らない人とコミュニケーションを取るいい勉強になった」と笑顔で話した。