和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年10月11日(金)

「古座川の食」応援 名店の料理人ら視察

古座川町の食材を使って料理を作る堀井良教理事(左)ら=和歌山県古座川町高池で
古座川町の食材を使って料理を作る堀井良教理事(左)ら=和歌山県古座川町高池で
「古座川ジビエ 山の光工房」を視察する関係者(和歌山県古座川町月野瀬で)
「古座川ジビエ 山の光工房」を視察する関係者(和歌山県古座川町月野瀬で)
 和歌山県古座川町のジビエやアユといった食材や食文化を応援しようと、日本の食文化の発展・振興に取り組む料理人を中心とした組織である一般社団法人「全日本・食学会」(東京都)の理事らが9、10の両日、町内を視察したり、地元食材で料理を作って住民と交流したりした。同会の顕彰制度で町が表彰を受けたことをきっかけとした取り組みで、今後も交流を続けながら町を支援したいという。

 同会は、京都の老舗料亭「菊乃井」の代表取締役社長を務める村田吉弘理事長をはじめとした日本の一流料理人が役員を務め、大手食品メーカーもスポンサーとなっている団体。2019年度から、食と食文化の分野での新たな活動や人材の発掘、支援などを目的とした顕彰制度「bean47」を設けており、古座川町の「『古座川ジビエ』の環境保護と地域活性化を推し進める活動」が、初年度の生産者賞を受賞した。同会では受賞者をサポートするために町を訪れることなどを計画していたが、コロナ禍が長引く中で延期されていたという。

 今回は、すき焼きの有名店「人形町今半」(東京都)の代表取締役副社長を務める高岡哲郎副理事長(61)や、そばの老舗「総本家更科堀井」(東京都)代表取締役の堀井良教理事(61)、以前から同町を訪れて交流を重ねている、パンの製造販売「ブーランジェリーエリックカイザージャポン」(東京都)の代表取締役である木村周一郎理事(53)ら10人が訪れた。

 参加者は古座川でウナギ石漁などを体験したり、同町月野瀬に町が整備した食肉処理加工施設「古座川ジビエ 山の光工房」などを視察したりした他、ジビエやアユ、アマゴ、スジエビ、ユズ、ニホンミツバチの蜂蜜といった地元食材を使った料理も披露。高岡副理事長や堀井理事らが、ジビエ肉を使ったすき焼き、干したアユのだしや甘露煮を使ったそば、スジエビのかき揚げといった料理を作り、参加した地域住民と一緒に舌鼓を打った。

 山の光工房施設長で町観光協会長も務める鈴木貴裕さん(35)は「日本の食を支えるトップの方々に古座川に来ていただき、地域の食材を使って料理をしていただいたのはすごいことであり、大変光栄。ジビエだけでなく、さまざまな食材を知っていただくことで、新たな魅力の発信や発掘にもつながればうれしい」。町地域振興課の下村賢一課長も「今回の出会いをきっかけに交流を継続していきたい。古座川の食材や食文化などを知って、発信していただければ非常にありがたい」と話した。

 「bean47」の顕彰委員会の委員長でもある堀井理事は「地域全体の食文化を応援したいという思いがあり、コロナ禍もあったのでやっと古座川に来ることができた。ここに来ないと味わえないような食材に出合うことができたし、古座川の皆さんが何を求めておられ、僕らがどういうお手伝いができるかというのを聞きたい。今後もずっと古座川に関わっていければ」と話していた。