和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

町道の管理に苦慮 みなべ町、草木かぶさり交通に支障

木の枝が道路の上にせり出している町道(和歌山県みなべ町で)
木の枝が道路の上にせり出している町道(和歌山県みなべ町で)
 和歌山県みなべ町は、道路沿いの草木の除去に苦慮している。業者に発注したり、団体に管理委託したりしているほか、各地区の住民によるボランティア活動に委ねているが、広範囲にわたっていることで対応しきれていないのが現状だ。道路にかぶさるように生い茂っている場所もあり、住民らは通行に支障を来すことを心配している。


 町建設課によると、町道は全部で947路線あり、総延長は約344キロ。そのうち、埴田堺線や黒潮フルーツライン西本庄古屋線などの主要路線の管理は町内の土木業者に発注し、千鹿浦新庄線や受領線など地区外の人も比較的多く利用する路線については、地元の区や住民組織など12団体に年間を通じての管理を委託している。予算は毎年、業者発注が300万円ほど、団体委託が70万円ほどになる。

 それ以外の町道は、各区が溝掃除などと同様にボランティアで実施する活動に委ねている。状況によっては町職員が出て対応する場合があるが、草が生い茂ったままの道路も少なくない。

 高城地域では、200メートル以上にわたって木の枝が道路にせり出している町道がある。地元の住民は「交通量が多いわけではないが、車の天井が当たりそうで危険。地元でなんとかしたいが、大掛かりで難しそうだ。町に対応してもらいたい」と話す。木の枝でカーブミラーが見えなくなっている場所もあり、心配する住民もいる。

 上南部地区の住民も、ガードレールが見えないほどに生い茂っている場所があることを心配し「車が草を避けるために中央部に寄るので危険だ。子どもなど歩行者にとっても危ない」と指摘する。

 これらの場所は、住民のボランティア活動に委ねられている。高城地域の区長は「町でやってくれればありがたいが、自分たちで自主的にやっている。車が安全に通行でき、子どもも安心して歩けるようにしたいし、きれいにしておきたい。活動が地域住民の交流にもつながっている」と話す。

 一方で、「町道は町が管理すべきで、地域で過疎や高齢化が進む中、住民の活動では限界がある」との声もある。

 周辺の市町では、職員が対応しているところもあるが、みなべ町は「新しい道ができるたびに旧道が増えていく。それがなくなることはないので、総延長は伸びるばかり。あまりにも範囲が広く、全て町が予算を付けて対応するとなれば費用がかなり要ることになる。これまで通り地区の協力を得て、対応していきたい」と話している。