和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

Aコープこざ店が9月末で閉店へ 串本町

9月末で閉店することが決まった「Aコープこざ店」(和歌山県串本町西向で)
9月末で閉店することが決まった「Aコープこざ店」(和歌山県串本町西向で)
本年度の事業計画案などを承認したJAみくまのの総代会(和歌山県那智勝浦町天満で)
本年度の事業計画案などを承認したJAみくまのの総代会(和歌山県那智勝浦町天満で)
 JAみくまのが運営するスーパー「Aコープこざ店」(和歌山県串本町西向)が9月末で閉店することになった。店舗の老朽化が進む中、人口減少などの影響で赤字が続いていることから判断したという。


 同JAの第21回通常総代会が25日、那智勝浦町天満の町体育文化会館であり、閉店案が承認された。

 Aコープこざ店は1987年6月に開店した。売り場面積は約509平方メートルで、主に食料品を取り扱っている。

 98年8月に改装して以降は小規模な修繕で対応してきたが、老朽化が進んでいる。屋根や外壁、トイレなどの大規模修繕が必要な状態で、フロンガス規制のためショーケースの入れ替えも余儀なくされているという。

 事業収益は、2016年度には5億3407万円だったが、21年度には3億6768万円と大きく落ち込んでいる。18年度以降は4期連続で赤字が続いている状況という。

 この日の総代会では、漆畑繁生組合長が、店舗を新たに改装するとすれば少なくとも6千万円以上は費用がかかると説明。「人口が大きく減少し、赤字が続く中で、苦渋の選択で閉店を決めた」と理解を求めた。

 スーパー閉店に伴う買い物難民対策として、同JAが商品を供給している移動スーパー「とくし丸」を周辺地域に走らせて対応したいという。

 この日の総代会では、経営の合理化や効率化を図るため、同JAの役員定数を削減する案も承認された。ほかに、21年度事業報告や22年度事業計画案も承認された。

 漆畑組合長はあいさつで「JAの経営環境を取り巻く情勢は年々厳しさを増しているが、地域に貢献できる組織であるためには、将来的に持続可能な経営基盤の確立が不可欠。より安定した経営を実現し、適正な運営体制を見直したい」と話した。

 Aコープこざ店の閉店を巡っては、通常総代会が開かれる前の22日にあった町議会6月定例会の一般質問でも取り上げられた。

 仲江孝丸議員(共産)の質問に対し、田嶋勝正町長が「量販店の進出で常に恐れていたことが今回起こった。進出するまでは地域に小さな商店がいくつかあったが、進出で店じまいをし、そこが閉めたときには地域に店がなくなってしまう。絵に描いたような一番怖いパターン」と述べた。その上で「決して地域の方々を見捨てるつもりはないが、総代会で多くの議論がなされた中で、行政としてその後に何ができるかを考えていくものではないかと思う」などと答弁した。