和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

林業の人材育成で協定 北大研究林と和歌山県農林大学校

上は林業人材の育成などを目的とした包括連携協定を県農林大学校と結んだ北海道大学和歌山研究林の本館(和歌山県古座川町平井で)、下は林業に就きたい人らが学んでいる県農林大学校の林業研修部(和歌山県上富田町生馬で)
上は林業人材の育成などを目的とした包括連携協定を県農林大学校と結んだ北海道大学和歌山研究林の本館(和歌山県古座川町平井で)、下は林業に就きたい人らが学んでいる県農林大学校の林業研修部(和歌山県上富田町生馬で)
 和歌山県古座川町平井にある北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション南管理部和歌山研究林と、上富田町生馬に林業研修部を設けている県農林大学校(かつらぎ町)は、林業を担う人材の育成などの取り組みを連携して行うための包括連携協定を結んだ。締結は6日付で、今後、協定に基づき北大が研修場所を提供したり、両者で講師を相互派遣したりする。

 県農林大学校ではかつらぎ町にある本校で農業について、林業については上富田町の林業研修部で研修を実施。すでに林業に就いている人が受講する「スキルアップコース」と、これから林業をしたい人が1年を通じて学ぶ「林業経営コース」があり、林業経営コースでは現在8人が学んでいるという。

 和歌山研究林は1925年、旧北海道帝国大学が暖帯林に関する教育・研究のため、旧七川村平井の共有林を購入し創設。現在の森林面積は約450ヘクタールで、さまざまなタイプの森林がある。うち約76%がスギ・ヒノキなどの人工林で、設立当初からほとんど人の手を加えていない大森山保存林(約60ヘクタール)では照葉樹の天然林が維持されている。

 林業研修部が2017年度にできてから、和歌山研究林を訪れて山仕事での体の使い方を学ぶといった研修を続けており、両者は「さらに連携を密にしていければ」と協定を締結。林業を担う人材の育成▽産学官の連携による森林・林業の振興▽森林管理技術や教育、研究、文化の振興―といった取り組みについて連携・協力することを決めた。

 本年度も、和歌山研究林が管理する森林を林業研修部が研修場所として活用し、チェーンソーなどの道具の使い方を学ぶといった「育林技術」などの研修をする予定という。

 林業研修部は「今までは年に1回程度の研修だったが、できれば複数回訪れさせていただけたらと思うし、大学校からも講師を派遣することができれば」。和歌山研究林は「協定に基づき、教育活動の充実を図るとともに、森林の多様な資源を生かした地域活性化にもつなげていきたい」と話している。