和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

最新技術で滑走路の異物検知 白浜空港で実証実験

NECと南紀白浜エアポートが目指す2030年の空港維持管理イメージ図
NECと南紀白浜エアポートが目指す2030年の空港維持管理イメージ図
長距離3D―LiDAR光スキャナー部
長距離3D―LiDAR光スキャナー部
 滑走路を点検する業務の効率化と精度の向上を目指し、18日から南紀白浜エアポート(和歌山県白浜町)とNEC(東京都)が白浜町の南紀白浜空港で、レーザー光などの最新技術を使った実証実験を始める。期間は1年間。


 実験で使うのは「長距離3D―LiDAR(スリーディーライダー)」。レーザー光を照射し物体からの反射光を捉えることで、その物体までの距離を測定するスリーディーライダーに、長距離・大容量光送受信技術と3D点群データの解析技術を組み合わせたシステム。最長1キロの距離まで検知できる。レーザー光は暗闇でも測定できるため、夜間の異物検知も可能となる。

 空港での飛行機の安全と運航効率を確保するためには、滑走路点検の一つである路面の定時点検は重要な業務となっている。しかし、点検は目視で行うことが多く、職員にかかる「見落としは許されない」という心理的ストレスを軽減させることが継続的な安全確保には重要となっている。

 さらに地方空港では、限られた人員で多数の点検業務や保守業務を行うため、デジタル技術を活用した業務の高度化、効率化が求められている。

 このため両社は、2020年から、滑走路を走る点検車両のドライブレコーダーを活用して路面のひびを探したり、衛星で路面の隆起を検知したりするなど、さまざまなデジタル技術を使って、滑走路の点検業務の効率化を目指した実験を続けている。

 これらのシステムを組み合わせ、実用可能となれば、現在、国内にある97空港の維持管理業務のさらなる高度化、効率化が図れるだけでなく、1カ所で複数の空港の点検が可能になるという。

 両社は30年までに、これらの空港維持管理システムを本格的に活用することを目指しており、「安全、安心な空港施設の実現に向けて、さらなる予防保全に取り組んでいく」と話している。