和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

ニホンミツバチの生息調査へ 住民と保護団体が巣箱

ニホンミツバチの巣箱を手作りする参加住民ら(和歌山県みなべ町清川で)
ニホンミツバチの巣箱を手作りする参加住民ら(和歌山県みなべ町清川で)
 和歌山県みなべ町や田辺市の有志でつくる「ビーフォレスト・クラブみなべ百年の森」(下村勤会長)は26日、協力の呼び掛けに応じて参加した住民と共にニホンミツバチの巣箱を作った。完成した巣箱は住民が持ち帰って、自宅周辺に設置。ハチの行動を観察してもらうことで、生息調査に役立てたいという。


 同団体は、ニホンミツバチの保護活動に取り組んでおり、これまでの巣箱設置に加えて、成育状況の調査を始める。ニホンミツバチが減っていることから、その要因を探るのが目的で、住民に協力してもらって調査範囲を広げる。

 巣箱作りは当初、1月下旬に予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期していた。この日は同町清川のみなべ川森林組合で午前と午後の2回に分けて巣箱作りをした。各回とも、町内や田辺市内などの住民10人と同団体のメンバー8人が参加した。

 巣箱作りは下村会長らが指導。5班に分かれ、下村会長が用意したスギ板を材料に、電動ドライバーを使って組み立てた。ハチを誘い込むために天井板に蜜蝋(みつろう)を塗ったり、劣化を防ぐためにバーナーで表面を焦がしたりもした。約1時間半かけ、幅38センチ、奥行き42センチ、高さ40センチの巣箱を2箱ずつ完成させた。

 それぞれの巣箱は住民が持ち帰り、自宅周辺などに設置する。ニホンミツバチは春から夏にかけ、群れの半分ほどが新女王蜂を残して古い女王蜂と共に別の巣に移る分蜂をするため、これからが設置に適した時季だという。下村会長は「あと1週間もすれば分蜂が始まる。なかなか作った巣箱に入ってくれないとは思うが、巣箱の入り口を出入りしていれば連絡を下さい。その後の観察もお願いします」と呼び掛けた。入り口を南向きにするなど、適切な設置方法についても説明した。

 参加した田辺市秋津川の農業、山﨑昂幸さん(27)は「梅の花の受粉のために、ミツバチを集めることができればと思った。数が減っているのも心配だし、調査に協力できればと思う」、同市中三栖の50代女性は「ニホンミツバチが減っているのを知り、増やすことに協力できればと思って参加した。家の周りを飛んでいるのをよく見るので、巣に入るのを期待したい」と話していた。

 下村会長らは「巣箱の設置はニホンミツバチの成育環境を整えるのが目的で、効果があることに期待したい」と話しており、来年以降も続けたいという。