和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

梅林にぽつんと「唐ミカン」 100年の古木に大玉の実

梅林に1本だけ植えられている「唐ミカン」(和歌山県みなべ町晩稲で)
梅林に1本だけ植えられている「唐ミカン」(和歌山県みなべ町晩稲で)
 和歌山県みなべ町晩稲の南部梅林で、「唐ミカン」と呼ばれるかんきつが収穫期を迎えている。木は1本だけだが、直径10センチを超える大玉の黄色い実をたくさんつけており、白い花が咲き始めた梅林の中で目を引いている。

 栽培する糸川千里さん(70)によると、樹齢は100年ほどで、毎年たくさんの実をつける。今季は特にたくさんなっており、昨年12月初めから黄色く色づき始めた。近く収穫を始め、2月中に終える予定。それ以上置くと、苦みが強くなるという。

 かつては梅林でも甘夏などの晩柑が植えられていたが、次第になくなっていった。しかし糸川さん方では代々、このかんきつは切らずに大事に残してきた。千里さんも毎年、実るのを楽しみにしている。

 程よい甘さの爽やかな味で、皮がむきやすい。その特徴から世界的な博物学者、南方熊楠が好んだ「安藤ミカン」と同じかんきつだとみられる。毎年、南部梅林の観梅シーズンに出店する売店で好評を得ているという。

 糸川さんは「味は三宝柑のようでおいしい。今季、梅林は新型コロナウイルスのために開園しないが、食べてもらいたいので無人販売などを検討したい」と話している。