和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

林業用架線の位置決め自動化 山中の作業をPCに移行

パソコン上で効率的にワイヤを張れる位置などが分かる(和歌山県すさみ町周参見で)
パソコン上で効率的にワイヤを張れる位置などが分かる(和歌山県すさみ町周参見で)
架線集材の現場を見学する林業関係者ら(和歌山県すさみ町太間川で)
架線集材の現場を見学する林業関係者ら(和歌山県すさみ町太間川で)
 和歌山県や紀南、紀中の林業関係企業などで構成する「紀中地域林業躍進プロジェクト推進協議会」は、コンピューターを使って架線集材を効率的に行うシステムを開発した。林業関係者は「林業界にとって画期的なシステム」と今後の展開を期待している。


 架線集材は、山で伐採した木をワイヤにつるして運び出す方法で、地形が険しく、林道の設置が困難な山で行われている。現在は熟練の作業員が山に入り、経験と勘でワイヤを張る位置を決めているが、今回開発したシステムでは、パソコンの地図上で、効率的に集材できるワイヤの位置が分かるという。

 さらに、このシステムでは、林業用架線の設計書が自動で作成されることから、労働基準監督署への提出書類の手間も大幅に省ける。県は、従来に比べ、労力やコストで約70%の縮減効果が見込めると算出している。

 林業従事者の高齢化、人材不足などの課題解決に向け、最新技術を活用し、効率的で、より安全な林業を目指す「スマート林業」の取り組みの一環。協議会が、林野庁の公募型モデル事業としてシステムの開発を進めていた。

 システム開発に全面的に協力した福山林業(すさみ町周参見)の福山武夫代表取締役は「これまでは山に何度も登ってワイヤを取り付ける位置を決めるなど、非常に時間と手間がかかっていたが、このシステムを使えばかなり効率化できると思う」と述べた。

 県日高振興局林務課の小山幸司課長は「今後さらに改良を加え、和歌山県だけでなく、似た地形の地域にも広く普及させることができれば」と話している。