和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

まちづくりで町職員らに質問 みなべ町高城中が子ども議会

「子ども議会」で町に災害対策や学校教育などについて質問する生徒(和歌山県みなべ町芝で)
「子ども議会」で町に災害対策や学校教育などについて質問する生徒(和歌山県みなべ町芝で)
 和歌山県みなべ町滝の高城中学校(瀬戸敬司校長)と町教育委員会は17日、同町芝の町役場議場で「子ども議会」を開いた。3年生11人が参加し、町の地域活性化や防災対策などについて提案したり質問したりした。


 同校は1年時に「地域を知ろう」、2年時に「地域に学ぼう」、3年時に「地域の未来を考えよう」をテーマに学習している。同時に地域の政治を身近に感じ、関心を持ってもらう機会にと昨年に続いて企画した。

 生徒は5班に分かれ、町の課題に関する質問を考えて練習し、本番に臨んだ。議長は町議会の原田覚議長が務め、質問には担当課の課長らが答えた。

 1班は少子高齢化を取り上げた。対策として移住者を呼び込むことを挙げ「空き家を提供できるのではないか。修繕費は町が出してくれるのか」と質問。産業課長は「来年度、地域おこし協力隊の制度を活用し、移住者の増加を目指す。修繕は県の補助制度があり、対象でない地域は町で検討したい」と答えた。

 5班は、少子高齢化により今の集落が維持できなくなる可能性を挙げ、その対策を聞いた。総務課長は「過去に集落編成で一緒になった地区がある。住民が主体的に集落のありようを考えるのが一番いい」と回答した。

 4班も町の過疎化を取り上げ、関係人口を増やすために旧清川中学校の利用や姉妹都市の締結を提案した。総務課長は「旧清川中はスポーツの拠点施設として活用していければと考えている。体験型宿泊施設にするのにはさまざまな課題がある」、うめ課長は「現在、姉妹都市はないが、日本の食文化推進連携で新潟県南魚沼市と交流している。世界農業遺産の認定地との交流もあり、それらを今後も続けていきたい」と答えた。

 2班は災害対策を取り上げ、避難先として宿泊施設も可能にし、その場合に補助金を出すことを提案するとともに、住民の意見を取り入れたハザードマップ作成を考えているかどうか質問。消防防災室長は避難先を宿泊施設にすることについては「コロナ禍で密を避けられ、避難促進にもつながるので検討したい」、ハザードマップについては「地域での言い伝えや意見を聞いて作成したい」と答えた。

 3班は授業で活用するタブレットについて、今は持ち帰りできないが、休校になった際にはどうするのかを聞いた。教育学習課長は「休校や閉鎖により、オンライン授業をするとなれば通信環境が整ってなくてはいけない。整っていない家庭にはモバイルルーターの貸し出しを考えている」と説明した。

 終了後、2班の永井結羽さん(14)は「全国的に災害が多く、自分たちの町は大丈夫かなと心配して質問した。緊張したけど、しっかり聞くことができたと思う」と振り返った。井戸和彦教育長は「今年も素晴らしかった。体験を将来に生かしてもらえればと思う。町の行政、地方分権に興味を持ち、活躍してもらいたい」と話していた。