和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

「情報公開制度の拡充を」 市民オンブズマンが9市調査

 和歌山県の市民団体「市民オンブズマンわかやま」は6日、県内9市の情報公開制度の整備度について調査結果を発表した。全体的に整備が不十分だとし「遅れている部分を拡充してもらうことを目的に公表した」としている。


 団体の畑中正好事務局長らが県庁で記者会見した。団体が9市を対象に情報公開制度の整備状況について調査するのは初めて。今春、各市にアンケートを配布、4月1日時点の制度の整備状況を聞いた。

 請求者の利便性についての問いでは、開示請求書をインターネットでダウンロードできるかについて、田辺、有田、紀の川、橋本の4市は不可だった。入手するためには市役所に出向く必要があるという。

 請求したい文書を確定するのに役立つ公文書目録について、市役所で閲覧できるのは田辺、新宮、和歌山だけだった。御坊、有田、岩出の3市は整備していない、残りの海南、紀の川、橋本の3市は整備しているが閲覧のためには開示請求などをする必要があるという。

 さらに、請求権者について、「何人」も認めると規定があるのは新宮だけだった。このほか海南を除く7市は請求権者以外からの開示申し出があった場合に応じる努力義務を定めた条例があるが、団体は「条例上の権利者になれるのか、恩恵で開示されるのかは大きな違いがある」とした。

 請求書様式に、田辺、紀の川、和歌山を除く6市に「目的欄」があることについては「目的によって受け付けを拒否することはないのだから、請求者が戸惑う項目は廃止すべきだ」と述べた。

 文書の作成や整理、保存、廃棄の包括的基準を条例などで定めているのは紀の川と御坊だけで、委嘱した委員名簿をホームページに掲載しているのは海南だけだった。

 団体は14項目について、最も後進的な回答は0点、特に優れている回答を9点とするのを原則に点数化し、順位を付けた。100点満点に換算し、最も低かったのは有田の40点で、岩出、橋本、紀の川、御坊、田辺、新宮、海南と続き、最高の和歌山は69点だった。和歌山は昨年の団体の要望に応じ、是正したことが点数アップにつながったという。

 一方で団体は「最高で60点台の整備状況では低過ぎる。市民に対する説明責任が追いやられている。首長が積極的な姿勢であれば、変更は十分可能。県内のどこかの市でできている制度は、他の市でも採用してもらいたい」と話した。