和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

昔の姿に思いはせる 小中学生17人が安居の暗渠を見学

山本滋久さん(右)から安居の暗渠が使われていた頃の地形の話を聞く小中学生=白浜町安居で
山本滋久さん(右)から安居の暗渠が使われていた頃の地形の話を聞く小中学生=白浜町安居で
 白浜町の安居小学校と三舞中学校の小学3年生~中学3年生計17人はこのほど、江戸後期に地域の庄屋、鈴木七右衛門が安居村(現白浜町安居)の住民のために整備した水路「安居の暗渠(あんきょ)」を見学した。


 2011年の紀伊半島大水害で一部が壊れ、使えなくなっている水路を「どうすれば再び使えるようになるか」をテーマに、地元在住の外部講師、山本滋久さん(65)が案内した。「えびね温泉」(同町向平)近くの日置川沿いの河原から水路の入り口まで歩き、使われていた頃と現在の地形を比べた。

 水路の入り口まで水流が途絶えている場所をたどりながら、砂利が積もっていてふさがっている所、逆に台風などで削られてしまった所を確認した。莫大(ばくだい)な費用が必要なことと、地域の農家が少なくなっていることから修復が難しいという話も聞いた。

 水路の入り口にたどり着き、子どもたちは内部をのぞき込んだ。山本さんは「水路は岩盤を273メートル掘って築かれた。泥岩なので本来は掘りやすいはずだが、温泉の熱で固くなっていたそうだ。それは七右衛門の誤算だっただろう」と語った。

 最後に山本さんは「今回の見学で疑問に思ったことは調べたり、地域の人に昔の話を聞いたりして学習しよう。昔通りに暗渠を使えるようにするにはどうすればよいかを考えてみて」と呼び掛けた。

 中学3年生の安田強君(14)は「鈴木七右衛門さんは地域の人のために水路を造ってすごいと思う。今後、安居の暗渠について自分たちに何ができるかを考えていきたい」と話した。